高齢者たちにダンスを教える元海外協力隊員 「子どもたちの希望になってほしい」その思いを抱き奮闘するわけに迫る
「鳥取県を日本一シニアダンサーの多い県にしたい」と語る元JICA海外協力隊員がいる。高齢者対象のダンス教室「ゆるダン」の代表として活動している佐々木啓太さんだ。佐々木さんは高齢者住宅や公民館を訪問し、認知機能や運動機能低下の予防のためのダンスを高齢者に伝えている。2024年10月19日から鳥取県で開催中の、高齢者が主役のスポーツ・文化の祭典「ねんりんピック」のオリジナルソング「鳥取に恋して」では、オリジナルダンスの振付も任されるなど、活動に注目が集まる。 高齢者施設でダンス教室開催の様子 高齢者向けのダンス教室を開催する一方で、佐々木さんは小中学生対象のフリースクール「こ・ラボ」の副代表も務めている。こ・ラボは2024年に鳥取県教育委員会の認可校となるなど教育者としての活動も目覚ましい。 一見関連性のないように思えるこれらの活動だが、佐々木さんにとっては「2つ同時に取り組むことによって、心のバランスがとれているような感覚がある」と言う。ダンス教室の代表としての一面だけではなく、教育者としての一面にも注目しながら、佐々木さんの活動について紹介したい。
ダンスを通じて輝く高齢者を次世代の希望に
佐々木さんが「ゆるダン」の活動をはじめたきっかけは、祖母が認知症を患っていたことにある。学生時代から好きだったダンスが認知症の予防になると知り、すぐにシニア向けダンス教室をはじめた。 「ダンスをすることにより表情が明るく変わっていく人は多く、楽しいと思ってもらえていると自信を持って言える」と佐々木さんは断言する。そして「なによりも、高齢者の方々が楽しくダンスをする姿を見ることで、自分たちが幸せな気持ちになり、本当に満たされている」のだそうだ。 ダンスを通し、いくつになっても人生を楽しんで歩み、輝き続ける高齢者の姿は、子どもたちにとっても「希望」になるのではないかと、佐々木さんは考えている。どんな言葉をかけるよりも、楽しく踊る高齢者の姿を見る方が、子どもたちが明るい未来をイメージする上で何よりも説得力があると信じているからである。 高齢者対象のダンス教室の活動をしながら、このように子どもたちの未来についても思いを巡らせるのは、佐々木さんが教育者であるからにほかならない。