斉藤、リネール追い込む 「自分の土俵で」―柔道
柔道男子100キロ超級で、パリ五輪代表の斉藤立(JESグループ)が王者テディ・リネール(フランス)を追い込んだ。 【写真】リネールと対戦する斉藤立 3月31日に行われたグランドスラム・アンタルヤ大会決勝。敗れはしたが、終盤まで「自分の土俵で」試合を進めた。 昨年5月にドーハで行われた世界選手権準々決勝は指導三つで反則負けしたが、今回は違う展開に持ち込んだ。右の引き手は相手の袖ではなく、腹付近の襟をつかみ続けた。いつもと違う組み手をリネールはなかなか切れない。さらに「重心を低くして腹を出した」。ずっと頭を下げさせられた前回とは違い、胸を張りながら圧力をかけ、積極的に技を繰り出した。 リネールに残り1分30秒で二つ目の指導。ここで斉藤は「かけ急いだ」。十分に崩さず内股に入ったところをひっくり返され、技ありを奪われた。組み手争いに終始して相手に指導が入るのを狙うのも「一つの手だった」。そう悔しがった。 練習拠点を置く国士舘大の吉永慎也監督は「勝つチャンスは十分に出てきた。戦い方はあれで良かった」と分析。右組みのリネールはもともと、斉藤のような左組みを相手にすると技の数が限られ、それを補ってきた馬力も全盛期に比べて陰りが出てきたとみる。組み手にこだわるか、それとも技をかけにいくのか。局面ごとに冷静に判断できれば「いい状態で試合を運べる」と期待する。 斉藤は「手の内を隠しても意味がない」と語った。老かいなリネールに対策を練られても「その上を行くのが勝負の世界」と言い切る。35歳の経験を22歳の伸びしろで上回れるか。パリ五輪で「三度目の正直」に懸ける。