記録的大雨、鹿児島県与論町は災害救助法適用なのに沖縄県は困難…原因は「相談遅れ」で条件満たさず
9日以降、沖縄本島北部と鹿児島県与論町を襲った記録的な大雨で、沖縄県の被災自治体の住宅応急修理費などに国費補助が受けられる災害救助法の適用が困難な見通しとなっている。被害状況が判明する前の段階で適用されるケースに該当した可能性があるのに、県の相談が遅れたのが原因。与論町は適用が認められており、同じ災害の被災地で格差が生じることとなった。 【写真】鹿児島県与論町で土砂が流れ込んだ県道(9日午前)
気象庁などによると、9日未明から朝にかけて線状降水帯が発生。沖縄県内ではその後、10日朝まで記録的短時間大雨情報の発表が相次いだ。13日午後4時現在、名護市など5市村で計100棟以上の床上・床下浸水などが確認されている。
災害救助法が適用されれば、対象市町村で家屋の応急修理や食品の提供などにかかった費用を国や都道府県が負担する。一定数以上の全壊家屋があることが条件になる。ただ、避難所設置など早期救助につなげる観点から、被害状況が不明の段階でも多くの人命に危害が及ぶおそれがあると判断されれば適用される。
県によると、同法適用を担当する生活安全安心課と、24時間対応の防災危機管理課の情報共有が不十分だった。内閣府は9日未明と朝の2回、生活安全安心課へ電話をかけたが不在だったという。同課は天候回復後の11日午前10時頃に内閣府へ問い合わせたが、すでに人命への危険はなく、全壊家屋数も条件を満たさず適用困難とされた。一方、鹿児島県は災害発生前に内閣府に問い合わせ、8日朝には同法が適用された。
玉城デニー知事は13日、本島北部3村の被災状況を視察後、報道陣に対応の遅れを認めた。その上で再発防止を指示したことを明らかにし、県として同等の支援を行う考えを示した。