IBF王者の西田凌佑「もう少しいけるかも」バンタム級最強を目指す 武市トレーナー「誰とやるかが大事」
プロボクシングIBF世界バンタム級王者の西田凌佑(28=六島)が初防衛成功から一夜明けた16日、大阪市住吉区の所属ジムで改めて喜びを語った。「試合内容は良くなかった。KOできたのは良かったけど」。前夜は同級14位の挑戦者アヌチャイ・ドンスア(28=タイ)に7回KO勝ち。今後も武器となりそうな左ボディーで沈めた。 試合3週間前に右脇腹を痛めるアクシデントに見舞われた。「触られただけで凄く痛かった」。それ以降はスパーリングできず。どんどん減量を進める段階で、体重減少とともに体や動きの感覚は変化し、ズレが生じる。「ぶっつけ本番だった」。不安を感じた西田は出番前のウオーミングアップに通常の2倍以上の時間をかけ、直前の舞台ソデでも武市晃輔トレーナーに「ミットを持ってください」と要求したという。 試合のゴングが鳴ると、不安は現実に。武市トレーナーは「1、2ラウンドは靴半分ぐらい距離が遠かった。相手のパンチをもらわないけど、西田のパンチも、きれいに当たらなかった」と振り返る。自身より背が高いサウスポーの懐へ何とか入りたい挑戦者は歩くような変則的な動きを見せて時折、右をヒットした。武市トレーナーは「半歩、前へ出る」ことを指示。3回から西田はバックステップを踏まず相手パンチをブロック。距離を詰めて相手の変則的な動きを封じ左ボディーストレートを有効に使って挑戦者を追い詰めた。 アクシデントを乗り越えて初防衛に成功。今後について西田は「バンタム級には長くいられないと思っていたけど、もう少しいけるかも」と今回変更した減量方法に手応えをつかんだ様子。「バンタム級で、いちばん強い選手になりたい。評価が高い中谷選手とやりたい」とWBC王者・中谷潤人(26=M.T)との統一戦を改めて希望した。武市トレーナーは「強い相手とやって評価を上げていかないと。防衛回数を重ねて評価を上げる時代は終わったと思います。誰とやるかが大事。たとえノンタイトル戦でも(ビッグネーム同士で世間の注目を集めるカードなら)凄いお金が動く時代。日本も、そう変わってきていると思う」と述べた。 枝川孝会長は「今まで10戦を見ていると、西田は相手が強ければかなり闘志を出す。そうでもなければ凡戦になったり。強い相手がいいんかなあ、とは思います」と話した。前夜は「せえへん」と最大の強敵と目される中谷との統一戦に否定的な考えを示したものの、この日は本人の意思をくみ取るような姿勢をうかがわせた。また、次戦の時期について「(来年)6月ごろかな。4月は早い。半年に1回、試合をやるぐらいで。減量が厳しいのでオフをつくってあげたい。気持ちも体もゆっくり休ませないと」。WBA世界スーパーフライ級王者・名城信男以来、ジム2人目の世界王者を大事に強化していく構えだ。 また、武市トレーナーは西田の、のびしろについて「もともとバンタム級じゃなかった。(同級のWBOアジアパシフィック王座に挑戦する機会があり)いけ!と言って結果が出ている状況。リングで本当の西田はまだ出ていないと思っています」と期待を抱く。そしてボクシングスタイルについても「西田の距離感を評価してもらっているようですが。(アウトボクシング、インファイトの)どちらが苦手とかない。相手の嫌がること、苦手なことをできている。僕は、西田はただのオールランダーだと思っています」と語った。初防衛戦のKO勝利をきっかけにモデルチェンジしていくのか。こちらも注目だ。