田中角栄元総理の演説に納得…金子恵美が衆議院議員時代に学んだ3つの「ホ」
職業差別と受け取れる発言をして批判を浴び、辞職することとなった静岡県の川勝平太知事。そもそもなぜ、政治家の不適切発言が後を絶たないのでしょうか。この発言の背景と、政治家に求められる資質について元衆議院議員の金子恵美さんに解説していただきました。 【写真】「もしトランプさんが再選したら?」金子恵美が考える日本の有事
政治家の武器は「言葉」
静岡県の川勝知事が辞職しました。突然の辞職で世間は驚きました。実際には致命的な失言により辞職に追い込まれた、と言っても過言ではありません。川勝知事は、県庁での新入職員の入庁式で、 「静岡県、県庁というのは別の言葉でいうとシンクタンクです。毎日、毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいはモノを作ったりとかということと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たちです。」 と発言しました。明らかに職業差別と受け取れる発言であり、県庁には何百件ものクレームの電話が殺到したそうです。知事であろうと国会議員であろうと地方議員であろうと、このような差別的な発言をすることはあってはならないことです。さらに、インターネット社会では、このようなトラブルは一生デジタルタトゥーとして残っていくものです。 川勝知事はリニア問題で日本中から注目を集めていた知事です。このリニア事業の対応についての賛否はありますが、良くも悪くもそれは1人の政治家として信念を持っての言動であろうと思いますし、またそれを訴え知事として当選しているということは、静岡県民の信任を得ていることでもあるので、私はここでそれを論評するつもりはありません。問題となったのは政治信条ではなく、今回の発言が極めて差別的であり、民の声を吸い上げるべき政治家としての資質が欠如していたということ。今回は、川勝知事が発言してしまったこの問題から考える、政治家の「失言」について考えていきたいと思います。政治家の武器は何かと言えば、まさしく「言葉」です。言葉一つで政治の道を切り開き、国民の声を政治に届け、社会を引っ張っていくわけです。選挙にしてもそうです。言葉一つで自分の思いや理想を伝えるものです。そのために政治家は日々研鑽を重ね、知識を吸収し、社会情勢を肌で感じ政策を実現していくのです。その過程で政治家は、多くの場面で発言をすることになります。選挙演説もそうですし、国会質疑、はたまた地元の行事や式典でのスピーチ、後援会の方々の結婚式での祝辞やお葬式での弔辞などなど、スピーチをする場面が多々あります。これが苦手だと言ってるようでは政治家の仕事は務まらないでしょう。うっかり気を抜くと失言をしてしまう、なんていうことになりかねません。川勝知事はこれまでも何度となく不適切発言をし、その都度指摘を受けてきました。今回の失言はこれまでと次元が違うものでしたが、こうした川勝知事の失言が特別だったのかというと必ずしもそうではありません。政治家の過去の失言の事例をあげたら、残念ですが枚挙に暇がありません。