「歯科医はなぜ"足指"の状態を気にするのか?」 40代以降は特に注意が必要!?
「アーチが変形すると、足に変化が起きます。一番わかりやすいのは偏平足。土踏まずが低くなったり、なくなったりします。それから親指や小指が内側に曲がったり(親指の場合は外反母趾、小指の場合は内反小趾)、指の関節が曲がったりします(ハンマートゥ)」(原田院長) 外反母趾はヒールの高いパンプスを履く女性に多いことで知られている。しかし、男性でも軽度の外反母趾になっている人は少なくないそう。 「また、そうした足の変形がなくても、アーチが崩れている人ももちろんいます。例えば、電車のカーブや停車時にふらつく人は気を付けたほうがいいです。また、体の後ろで手を組んで、上から誰かに押してもらった時に倒れるようであれば、足でバランスが取れていない状態です」(原田院長) 足の状態の確認方法はわかった。自身の足がよくない場合、改善する方法は? 原田院長は「まずやるべきは靴と靴下の見直し」だと言う。 「アーチの崩れや足の変形の原因は、加齢による筋力低下、運動不足、歩行のクセなどいろいろあります。そのうちのひとつが靴なんですが、個人的に一番問題だと思うのが、日本人の多くが正しく靴を履いていないこと。つまり、足に合っていない靴を履くことで足が変形してしまっているということです」(原田院長) 靴は適切なサイズのものを選ぶのが重要。"大は小を兼ねる"とはいかない。筋力低下が進む40代以降は、合っていない靴を使用しているとさらに変形しやすくなる。一度、靴選びの専門家であるシューフィッターに相談するのがオススメだ。 「それから、できれば靴下もアーチサポート機能のついた五本指ソックスに変えたほうがいいです。普通の靴下は足指を包んでしまうため、自由に動かすことができません。すると足指に力が入らず、足の他の筋肉に負荷がかかり、アーチに悪影響を及ぼします」(原田院長) それから足指のストレッチも効果があると、原田院長は言う。 「手指を足の指先に差し込み、足指がまっすぐになるように手指で押さえます。そしてもう一方の手で、足指の付け根の下を包み込むように持ちます。前述した足の横アーチを作るイメージです。その状態で、足指の間に差し込んだ手を上下に動かして伸ばします。 このストレッチを毎日続けることで、足の筋肉や関節がほぐされ、足でバランスが取れるようになってきます」(原田院長) 実際にこのストレッチをやってみると、足指が広がることもあって、前述した手を組んだ状態で上から押されても、姿勢を保つことができる。少し力を入れて押されても、微動だにせず。もちろん翌日には元に戻っていたが、継続すれば効果はありそうだ。 最後に原田院長は足の重要性をこう話す。 「口の中だけ見て考えれば、歯に負担がかからないように噛み合わせを調整したり、虫歯や歯周病の病原菌をなくすことで十分です。しかし、それはあくまで対処療法。根本的解決ではない。体の一部として全体的に見れば、それだけでは足りない部分がある。そのうちのひとつが足なんです。そう言ってもまだまだ理解されないことのほうが多いですが、できたら足にも目を向けてもらいたいですね」(原田院長) ネイルをする女性に比べ、男性は足を見る機会も少ないはず。しかし、その異変はじわじわとボディーブローのように歯にまで影響を与える。わずかな変化に足をすくわれないよう気を付けたい。 ●原田友助白十字柏歯科院長。一般的な虫歯治療やホワイトニングなどのほか、体全体の健康から歯の健康を目指し、「足指のばし(足腰・ひざの痛みと姿勢と痺れ相談)」も行なっているアクセス:千葉県柏市東上町3-8 柏パークホームズ102TEL:04-7164-8225 取材・文/鯨井隆正