2024年度上半期(4-9月)の「ゼロゼロ融資」利用後の倒産309件 単月は4カ月連続で前年を下回る、従業員50人以上は増加を強める
2024年度上半期(4-9月)「ゼロゼロ融資」利用後の倒産状況
2024年度上半期(4-9月)のゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)を利用した企業の倒産は、309件(前年同期比7.7%減)だった。四半期別では、4-6月は177件(前年同期163件)で前年を上回ったが、7-9月は132件(同172件)と減少に転じた。特に、8月は2022年7月の35件以来、25カ月ぶりに40件を下回り、9月も41件(同52件)に留まった。ゼロゼロ融資を利用後の倒産は小康状態をみせている。 ゼロゼロ融資を利用後の倒産は、負債額別では負債10億円以上が20件(前年同期比42.8%増)、従業員数別では50人以上300人未満が11件(同83.3%増)で前年同期を上回った。全体では309件(同7.7%減)と前年同期を下回ったなかで、中堅クラスの増勢が目立った。 ゼロゼロ融資などコロナ関連支援策は、倒産抑制に劇的な効果を発揮したが、副作用で過剰な債務を抱えた企業を生み出した。さらに、コロナ禍が落ち着くと今度は、円安やロシアのウクライナ侵攻などに伴う物価高が企業収益を圧迫している。企業規模が小さいほど価格転嫁は難しく、収益確保に苦慮するなかでゼロゼロ融資の返済が負担になっている。 政府は、返済開始に伴う資金繰り破たんを防ぐため、「コロナ借換支援」などの各種資金繰り支援を6月まで実行した。7月以降は、経営改善・再生支援に重点を置いた資金繰り支援に移行し、信用保証協会では保証料を減免した制度融資「経営力強化保証制度」を設けた。これらの施策は倒産抑制に一定の効果を見せているが、根本的な業績改善に結び付くまでには至っていない。 また、9月に短期プライムレートが0.15%引き上げられたが、すでに春以降、金融機関は貸出金利を引き上げ始めている。物価上昇や最低賃金引き上げなどのコストアップもあり、今後は価格転嫁がカギを握るが、中小企業は容易ではない。今後、金融機関の融資選別も見込まれるだけに、コロナ禍から経営改善が遅れた企業が、再び倒産件数を押し上げる可能性も出てきた。 ※本調査は、企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」を受けていたことが判明した倒産(法的・私的)を集計、分析した。
2024年度上半期の「ゼロゼロ融資」利用後倒産は309件、4カ月連続で前年を下回る
2024年度上半期(4-9月)の「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は309件(前年同期比7.7%減)で、前年同期より26件減少した。月次では、6月以降、4カ月連続で前年同月を下回った。 負債総額は900億9,600万円(同17.0%増)で前年同期を上回った。9月は、2024年3月(209億3,200万円)に次いで、単月では歴代2位の206億6,800万円に達し、負債を押し上げた。