前代未聞の“神”ドラマ『全領域異常解決室』脚本家&プロデューサーが語る「ゲームチェンジ」の舞台裏と藤原竜也への信頼
■“神話”と“超常現象”の膨大なリサーチからスタート この誰も見たことのない今作が立ち上がった経緯を聞いてみると、「初めて黒岩さんとお会いした時に『アメリカに“全領域異常解決室”っていう組織があるんですけど、知ってます?』と聞かれたことがきっかけでした」と語る大野氏。 そもそもの出発点について、黒岩氏は「数年前なんですが、伊勢詣の移動でタクシーの運転手さんにいろんな話を聞いていくうちに、日本人が知っているようで知らない日本神話を元に、アカデミックな感じの、ドラマで学びながらもエンタテインメントになる作品を作ったら面白いんじゃないかと思ったんです。そこからもう一人のプロデューサーである成河(広明)さんと、せっかくだったらあまり見たことのないドラマをやりたいねということで、“全領域異常解決室”と“神”の話を一緒にできないかな?と、“神話”と“超常現象”の膨大なリサーチとともに始まっていきました」と教えてくれた。 そんなある意味突拍子もない設定のドラマをどう見せるかには工夫が必要だと考えたそうで、「以前『O-PARTS~オーパーツ~』(12年)というSFのオリジナルドラマをやったんですが、見てくれた人の反応はすごく良かったんです。だけど、やっぱりお客さんを選ぶというか、民放の地上波でSFファンタジーをやることの限界を感じたんです。だから最初はもうちょっと多くのお客さんが見てくれるパッケージの、いわゆるミステリードラマで、一話完結もののフリをしておいて、途中で実はこれまでの事件はすべて神様が人間に気づかれないように丸く収めていたんですと明かしたほうがいいんじゃないかと思いました」と黒岩氏。 大野氏もこの点について、「その打ち出し方についてはギリギリまで精査しました。第1話から神様についてのドラマだと謳(うた)ってファンタジーのように見えてしまうと視聴者の方が離れてしまうんじゃないかという不安もあったんです。だけど、まず事件解決のエンタメとして楽しんでもらった先に、“こんな奥行きのあるストーリーになる”と知っていただきたい思いがあったので、その“ゲームチェンジ”をさせる上で、第5話が象徴的なお話になったかと思います」と明かす。