学校のネットワーク改善補助などに88億円、全国学調のCBT化も――2025年度概算要求
文部科学省は2024年8月30日、2025年度(令和7年度)の概算要求を公表した。8月27日に中央教育審議会から答申された教員の手当等の拡充や支援スタッフの充実に充てた予算が目立つ一方、GIGAスクール構想と学校DXの推進に計94億円を要求するなど、ICT関連予算も増えている。 「GIGAスクール構想支援体制整備事業等」では、新規に約88億円を要求する。現在、インターネットの推奨帯域を満たしていない学校は全体の78.4%に上る。この状況を改善するため、ネットワークアセスメントの実施、その結果に基づいたネットワーク環境の改善、インターネット接続回線の契約切り替えにかかる初期費用について、自治体を対象に3分の1の割合で補助する。 次世代校務DX環境の全国的な整備も進める。このDX環境では、校務のデジタル化によってロケーションフリーでの業務やダッシュボード上での各種データの可視化を通じたきめ細かな指導の実現を目指す。
学校で安心して使える生成AIを実証
「生成AIの活用を通じた教育課題の解決・教育DXの加速」も、新規に8億円を要求している。中でも、「セキュアな環境における生成AIの校務利用の実証研究事業」と「学びの充実など教育課題の解決に向けた教育分野特化の生成AIの実証研究事業」は注目だ。 前者は、生成AIを校務で安全かつ効果的に活用するための研究だ。生成AIは校務の効率化に役立つことが実証されつつあるが、情報セキュリティや児童・生徒の個人情報保護の観点から使用が制限される場面も多い。そこで、「セキュアな環境下において、ダッシュボード等のツールとの連携の検討も含め、校務で生成AIを活用する実証研究」を進める。また、後者の実証研究では、個別最適な学習の提供や、外国にルーツを持つ児童・生徒への多言語対応など、教育現場が直面する課題に生成AIがどのように寄与できるかを検証する。 文部科学省のCBTシステム「MEXCBT」(メクビット)の開発・運用には約13億円を充てる。2025年度(令和7年度)には、全国学力・学習状況調査(全国学調)のCBT化に伴い、中学校理科の教科調査で利用する。文部科学省は2024年7月に、全国学調をCBT化する行程表を明らかにしている。これによると、前述の中学校理科を皮切りに、2026年度(令和8年度)は中学校英語、2027年度(令和9年度)には中学校の国語と数学に加え、小学校の国語と算数の教科調査でも、MEXCBTを使ったCBTに移行する予定だ。