<リオ五輪>本日深夜準々決勝 女子バレー、日本が米国を倒す4つの条件
「今大会を通じて日本のミドル攻撃が少なすぎます。アメリカは、バンチリードというトスの動きを見てブロックをしてくるシステムを徹底していますが、真ん中の攻撃がある、ないでは、ほんの少しブロッカーのスタートも変わってきます。リードブロックを崩すには、トスを伸ばしてストレートを打てるようにすることと、真ん中の攻撃を使うことが必須です。それとバックアタックも少ないので使いたいですね。バックアタックに関しては、正直に真ん中から打つだけではなく、レフトとセンターの間とか、ちょっとずらしたポジションから打たせるなどアメリカのディフェンスを混乱させる工夫も必要かもしれません」 今大会では、セッターには宮下遥、田代佳奈美を併用しているが、荒木絵里香、島村春世を使ったミドル攻撃が少ない。パワー勝負で太刀打ちできない日本はスピードと攻撃の多彩さと精密さを追及しなければ突破口は開けないのだ。ベンチからの指示があってもいいだろう。 「グループリーグ戦では連続失点が目立ちました。レセプションでやられるケースが多いのですが、初出場の選手が多いので、五輪独特のムードに飲まれプレッシャーから動きが堅いのです。本来、やるべきバレーができていません。しかし、アメリカに勝つためには点差をつけられないことが重要で、2点差くらいで粘り続ければ必ずワンチャンスがあります。ジリジリと追いつめられると相手に焦りが生まれミスを誘うことにもつながります。 また逆に日本は得点チャンスを確実にモノにしていかねばなりません。ここまでの戦いを見ていると、絶対に得点にしなくてはならないダイレクトボールやチャンスボールを点数にできていないため、そこでリズムに乗れていないのです。ラリーでつなぎ、木村沙織選手が決める場面で、トスが上がってこないようなチグハグさも目につきました。木村選手の状態が良くないからかもしれませんが、そうなると木村選手の立場は、けっこうつらいものがあり、そこでトスを上げて決めていかないと復調はできません。木村選手の復調はアメリカ戦を倒すための絶対条件でしょう」 今大会、木村沙織のパフォーマンスが上がってこない。韓国戦では、試合途中に足を吊るようなアクシデントまであった。大山さんはその理由を、「初出場でかたくなっている石井選手、佐藤選手の守備の不安をカバーするため、木村選手の守備の負担が大きくなっていて、スパイク動作が遅れ、攻撃面で悪影響が出ています」と見ている。 おそらく今大会で代表からは退く可能性の高い主将の木村沙織が復調しなければ、アメリカ相手にジャイアントキリングは起こせない。 アテネ五輪では共に出場。その木村沙織のバレーボール人生をずっと見てきた大山さんだからこそ、一層、思い入れが強くなる。 「粘り強いブロックフォローで、どれだけスパイカーの力を引き出せるかもポイントになるでしょう。ここまでディグ力はあるのですが、ブロックフォローは悪いのです。スパイカーもフォローして欲しいボールが落ちるため、きついコースを狙って打ちにいき、アウトになるという悪循環がおきています。木村沙織選手も、荒木選手も、もっともっと打てるのです。チームへの合流が遅かったこともあり“若い選手にプレッシャーをかけたくない”と言っていた荒木選手にしても“私に上げて”と主張していいでしょう。コート内で互いに遠慮することなく、スタッフも含めてチームがひとつにまとまらねば、アメリカには勝てません」 2大会連続メダル獲得を目標に掲げてリオ五輪に乗り込んできた日本代表。真鍋監督は「化学反応を起こしたい」と語っていたが、その化学反応を起こすのは、このアメリカ戦しかない。