南三陸旧防災庁舎「震災遺構」に 町が保存し後世に、宮城
東日本大震災の津波で町職員ら43人が犠牲になった宮城県南三陸町の旧防災対策庁舎は1日、県から町に所有権が移され、町が管理する「震災遺構」となった。鉄骨3階建て(高さ約12メートル)が骨組みだけの姿となり、津波の猛威をまざまざと示す「震災の象徴」とも呼ばれた旧庁舎。今後は恒久保存され、防災の教訓を後世に伝え続ける役割を担う。 佐藤仁町長(72)は午前9時ごろ、正面の献花台に花をささげて黙とう。「町の復興の姿を、この場所からみなさん見ていてくれたのではないか。防災を学ぶ場として活用していきたい」と語った。 旧庁舎は震災後、「見ると思い出してつらい」という遺族らの声を踏まえ解体するか、震災伝承のため保存するかで揺れた。町はいったん解体方針を示したが、2015年、所有権を県に移し、時間をかけて議論することで県と町が合意。解体は見送られた。 周辺はその後、震災復興祈念公園として整備され、慰霊や防災学習のため多くの人が訪れている。佐藤町長は今年3月、所有権を町に戻し、震災遺構として保存すると表明した。