50代 ぽっこり下腹、尿漏れ改善「5分でOK」骨盤底筋エクササイズ
婦人科系不調に悩まされる独身時代、出産時の会陰裂傷で尿漏れ・便漏れ。さまざまなトラブルを膣トレと膣ケアで乗り越え、次の世代にフェムケアの重要性を伝える、日本初の「膣プランナー」山口明美さん。膣ケアを始めた山口さんに起こった、肌や体のうれしい変化とは? 50代から増える健康のお悩み
婦人科トラブル多発のバリキャリ時代~第二子出産の会陰裂傷
─14針縫う会陰裂傷をどのように乗り越えたのですか? 切迫性尿失禁が続き、産後うつにも陥り、しばらくは絶望の淵に立たされていました。唯一の希望の光は、私の祖母の“尿漏れは筋肉のトラブルだから、鍛えれば元に戻るわよ”という言葉。3年前に105歳で亡くなった祖母は、生理のときにナプキンを使ったことがなく、経血コントロールを実践していた人。この地獄から抜けだすためには、トレーニングが必要なんだ、とリハビリ先を探す中で、ある助産師さんと出会い、そこで初めて、ケーゲル体操という尿漏れ体操を知りました」
─ケーゲル体操?初めて聞きました。 「呼吸しながら骨盤底筋を締めるトレーニングです。元々は、1940年代に、ケーゲルというアメリカの産婦人科医が考案し、その方の名前がついたそう。私は助産師さんの指導を受けながらひたすら体操を続け、自宅でも呼吸法と合わせて朝晩5分を習慣にしていたら、尿漏れだけでなく、皮膚科でも取れなかったシミが薄くなり、コアマッスルが鍛えられてお腹がペタンコになり、出産で増えた体重がみるみる減って最終的には26キロ減!」 ─骨盤底筋エクササイズが、ダイエットにも効いたということですか? 「びっくりですよね。もちろん始めてすぐ、というわけではなく、毎日何ヶ月も続けるうちに、ですが。骨盤底筋というのは、骨盤の中の膀胱・子宮・直腸を下からハンモックのように支えるインナーマッスルで、骨盤の底にある尿道、膣口、肛門を締めたり緩めたりするときにも使う筋肉です。私の場合は、出産時のダメージでボロボロになってしまいましたが、一般的にも妊娠・出産・加齢・閉経で緩みます。昔は、和式トイレや和服で立ったり座ったりする生活の中で自然に鍛えられていましたが、便利な現代の生活で、出産経験のない若い世代でも緩んでいる人が多いそうです。骨盤底筋が緩むと、日常的にくしゃみや咳、ジャンプなどちょっとした腹圧で尿漏れ、お湯漏れや空気漏れ、性交渉感度の低下のほか、ひどい場合は、老後に膣から臓器が出てしまう臓器脱にも。骨盤底筋が緩むと内臓を支えられなくなって、下腹もぽっこりしちゃうんですよね」。 ─シミが薄くなったことと骨盤底筋トレーニングの関係は? 「はっきりはわかりません。でも代謝がよくなったことや女性ホルモンのバランスが整ってきたことなどが背景にあるのかな、と。長年の悩みだったシミが消えて肌に自信が出て、ファンデーションを使わなくなりました」。 ─尿漏れ体操以外に、膣ケアも始められたんですよね。 「会陰裂傷が回復しない数ヶ月、シャワーもボディソープもしみてヒリヒリして使えない状態でした。当時の日本には、フェムゾーンの専用アイテムはなかったので、ネットで調べてみると海外には普通に専用ケア商品があって。そういえば、海外を一人旅したとき、ドラッグストアに並んでいたのを思い出しました。ネットで専用のボディウォッシュを取り寄せて、大陰唇と小陰唇、会陰、肛門周りを優しく洗い、お風呂上がりにはジェルやオイルでマッサージを習慣に」