石川遼とパターコーチの会話がマニアックすぎた件 「なぜロフトは2度?」
丸山コーチは石川の理屈をさらに補足した。「クランクネックやショートネックってオフセットがあるので、どうしてもハンドファーストに構えやすくなります。ハンドファーストだと基本的にフェースは右を向きやすく、インパクトでフェース面はブレやすくなる。さらにロフトもブレやすく、強く飛び出たり、石川プロが言うように打ち込みすぎて飛ばなかったり、ボールの転がりに影響が出ます。インパクトロフトの理想はだいたい1.5度ぐらいですが、石川プロはフィーリングでそれが分かっているんでしょうね」。石川のロフト設定に感心しきりだった。
「でも、いろいろと操作できるのはショートネックとかクランクネックの良さでもあるよね。このパター(#7)はひとつの打ち方しかできないから」と言う石川に対し、「確かにそうですね。操作性の良さがあるとイメージが出やすくて、それで構えやすい部分もありますよね」と丸山コーチ。二人の話はだいぶディープな方向に進んでいった。
続けて丸山コーチは、「それは何を試しているんですか?」と石川のバッグの中に入っていた2本の新しいパターを目ざとく見つけた。1本は流行りのジェイルバードミニ、もう1本は古い「EXO SEVEN」の中尺センターシャフトだった。石川は「ジェイルバードはクランクネックにしてもらって、ハンドアップで構えたいとき用に作ってもらいました。センターをずっと使っているとハンドダウンになりやすいんでね。EXOは中尺の長いグリップ。使ってみたいなと思って試したけど全然ダメだった」と笑って説明した。
その後も興味深そうに石川のパッティング練習を眺めていた丸山コーチ。プロコーチとしてはツアーで駆け出しの身。ツアー屈指のパター巧者との思わぬ出会いを、コーチングの肥やしにしたかったのだろう。終始興奮気味に石川に質問していたのがとても印象的だった。(編集部/服部謙二郎)