【内幕】「すごいなシンゾー!」トランプ氏に伝えた五輪延期 安倍元首相銃撃1年…側近が語る「長期政権の舞台裏」④
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■トランプ氏に五輪延期を伝えると「シンゾーすごい!」
長谷川元首相補佐官 2020年にコロナが蔓延し始め、オリンピックを1年延期したい、せざるを得ないということを総理は思うわけです。 しかし、アメリカが賛成してくれないと、これはうまくいかないだろうと。諸般の理由で、メディアなども含めてですね。 それが電話会談だったですが、相当総理も緊張して、「ノー」と言われたら困るという感じだったんです。 その話をトランプ大統領に電話でしたら、大統領の反応は「シンゾーすごい!オリンピックをこれまで、奇数の年にやった人はいないんだよ。君が初めてだよ」という反応だったんです。「2021。私は21という数字が好きなんだよ。」と。 総理は「私は誕生日も21日なんです」と話し「すごいなシンゾー!」と、トランプさんがOKしてくれたこともあります。
■インド・モディ首相は「アベ!」絶賛
日本とインドは交互に訪問し合うことになり、インドを訪問しました。 ある時、歓迎の昼食会で、対面したモディ首相と総理。しかし、テーブルの距離があって、お互いの声が聞こえないようなんです。 ですから、モディさんは隣にいる私に、話をしてもいいよということになりました。私は質問しました。 「モディ首相は色々と世界のリーダーとまみえる機会が多い思いますが、どのリーダーが一番好きですか」と。そしたら、「シンゾーに決まってるじゃないか」と。「アベだよ、アベ」って。 トランプ大統領は「シンゾー」というんですが、モディ首相は「アベ」と言うんです。なぜかと聞いたら、「He inspired me」と言うんですね。「inspire」という言葉を使ったんです。 なぜそう思うのかとも聞くと、「安倍総理は、ある事をするというビジョンを出し、それを実行して、実現するんだ」と。 「これは自分に強くinspiringだ」と言ってました。
■対中外交…徐々に縮めた習近平国家主席との距離
中国との関係も大変苦労したわけです。 向こうの言い分は、日本側としては、とても飲める話じゃありません。ある種の威嚇をしてくるわけです。 2013年に政権発足し、数週間した時に、尖閣周辺だと思いますが、東シナ海で日本の自衛隊の艦船が、中国の艦船からいわゆるミサイル(火器管制レーダー)照射を受けるわけです。 軍の世界の常識では、照射を受けるとミサイルが飛んでくることは、しばしば起こるわけです。自衛官のみなさんが規律高い辛抱で、撃たれるかもしれないのけども、当然ですが反撃をしなかった。そういうことがありました。 これはすぐ首脳会談をし、万が一の時は、すぐトップが交信できるようにしようと思ったんですが… 習近平国家主席との最初の接触は、それから、1年10か月たった2014年10月です。習近平氏は、そっぽを向き嫌な顔をし、中国側は会談と言ってないと思うんですけど、背後に日中の国旗もない。 それが回を重ねることにより、段々と距離が近づいてきて、最後の1年ぐらいは、食事でもてなしてくれる関係になったわけです。 その時に、習近平主席がおっしゃるのですが、すごく印象に残ったのは、確か2017年。ベトナムAPECの折りに行った二国間の首脳会談。中国人の日本に対する見方、感覚はすごく改善してるんだと。それは多くの中国人が日本を訪れ、日本人と接し、実の姿の日本、日本人を理解したという。 いわば観光振興。そういう外交関係の友好、もちろん地方振興だけども、日本がそういった複数の目的を、同時に達するような政策展開もあり、それを習主席の言葉で、トップから言ってくるという関係にまでなったんです。 ですから、日中の関係も、当然一筋縄ではいかないわけですけれど、何とかうまくお互い、やってはいけないこと、言ってはいけないこと、それから、お互いがしなくてはいけないこと、これを、何とかうまく組み合わせて欲しいなと思います。 総理は、私よりはもう少しタカ派だとは思いますが、首脳会談時は必ず尖閣についての日本のポジションを発言し、向こうも、最初は反応したんですが、李克強首相も含め、総理が発言すると、とにかく聞くと。そういう感じになって、安倍総理としての最後の首脳会談が終わると。
(※側近が語る「長期政権の舞台裏」⑤に続く)