とにかく経営者になりたくて、会計士を辞めて起業へ|悟空のきもち 代表・金田 淳美さん|STORY
――辞める時に、次はこうしよう、というのは考えていたのでしょうか? とりあえず辞めると決めました。頭マッサージのこともうっすら考えてはいたのですが、具体的な起業レベルまで考えていたわけではありませんでした。すぐに起業できるだけの確かな道が見えていたわけではなかったので、一旦いろいろな世界をみるためにアメリカにわたりました。しかしアメリカにいる間にビジネスプランがどんどん浮かんでしまって、もう頭マッサージをやりたい気持ちが出てきてしまって、結局早く帰ってきました。本当の予定は1年で契約していましたが、戻っていろいろ始めなくてはという思いが強くて、4ヶ月で戻ってきてしまいました(笑)。 ――頭マッサージのことをやりたいと考え始めたのは、会計士の時からですか? 会計士の時には、それをビジネスにしたいとは思っていませんでした。どちらかいうと会計士の仕事で成果が出ていないとか、ストレスが強いとかで、仕事をしようと思っても眠くてできないことも。お昼休憩はご飯に行くのではなく、マッサージをして寝ていたかったです。ゆっくり寝たら何か改善するんじゃないか? 頭がすっきりしたら仕事も進むんじゃないか? という感覚だけがありました。でも探してもそういう場所がなかったんです。 まさかそれでビジネスをやるという感覚はなかったので、ただゆっくり眠れる場所があったらいいなと思っていました。でもアメリカに行くと、起業したい、早くビジネスをしたいという思いの方が強くなり、その時に自分しかできないものをやりたいと思って、アメリカでも頭のマッサージがないか探しました。ヘッドスパみたいなものはあるんですが、日本や他の国にも、ヘッドマッサージを専門でやっているところはどこにもありませんでした。だから「ないなら自分でやりたい!」と思ってアメリカからすぐに日本に帰ってきました。
――心配性だったと伺いましたが、次の仕事を決めずに会社を辞めたのはどうしてなのでしょう? むしろ、心配性でビビリだったからです。確かに会社を辞める時の不安は大きかったんですけど、10年後、会計士として働いている未来の自分を想像した時の不安の方が大きくて、今より未来が怖かったんです。とにかくビビリだから早く辞めたかったです。 ――アメリカからすぐに帰ってきて、まず何を始めたのですか? 自分で医学書解剖学を読んだり、マッサージの勉強でいろんな人に話を聞きに行くとか、、ありとあらゆる人のところに行きました。お医者さん、マッサージ師、そのほか治療の人に聞きに行きました。みんなに聞けば聞くほどわかってきたことは、結局頭のマッサージがないってことだったんです。みんなわからない。お医者さんも、マッサージの治療をやっている人もわからない。 そもそもマッサージって、筋肉のコリを取り除いたバランスを整えたりすることが主流で、その主な筋肉は骨格筋なんですよ。そうすると頭の場所ってほとんど骨格筋と呼ばれるものが存在しないんです。大部分が腱や皮筋に覆われていて、なので、マッサージの主たる場所は頭ではなく体だったんですよね。 答えを持ってないのなら、誰かが探さないといけないし、誰かが作らなきゃいけないから、だとしたら、私がそれをやろうと決めて、たくさん勉強しました。自分で勉強しても答えがないので、医学や解剖、生理学、といった大きなジャンルのものからマッサージ全般まで勉強し、そこから頭をほぐすって一体どういうことをすべきなんだろう? というのを自分で作り上げていくしかなかったです。 そのあとはすぐにお店を始めました。何が答えかわからないので、1回自分が作ったものを世の中に出すしかなく、お客様から答えをもらうしかないと思って、まず自分がいいと思うマッサージを作り、お店を出しました。もしいいものだったら残るだろうけど、必要のないものだったら淘汰される。自分の作り出すものが合っているかどうかは世の中が決めると覚悟していました。 撮影/BOCO 取材/加藤景子