テレ東退社から3年半…引く手あまたな佐久間宣行Pの仕事術 大切にするのは“人”「天才でなければ痛い目を見る」
ビジネスの悩みを解決する指南本『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』刊行
フリーのテレビプロデューサー、ラジオパーソナリティーとして多方面で活躍する佐久間宣行さん(48)が『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』(ダイヤモンド社)を刊行した。「仕事の悩みを解決する名手」として、多くのビジネスパーソンから支持されている佐久間さんが、本書に込めた思いや自身の働き方について明かした。(取材・文=平辻哲也) 【写真】「本人にしか見えない」「激似w」と話題…佐久間宣行氏が出会ったR-指定そっくりな会社経営者 佐久間さんの前作『佐久間宣行のずるい仕事術』(ダイヤモンド社)は、ビジネス書として異例の20万部を売り上げた。 「嬉しかったのは、NHK内の書店でずっと1位だったことです。職員の方が、組織を辞めそうな人にその前にこれを読めと本を渡していたと聞きました。あるいは逆に、実際に会社を辞めた方や、『辞められるような人間になろうと思って、働き方を変えました』という方にもよく出会います。無意味に辞める人は減ったのではないかと思っています」 佐久間さん自身は2021年3月にテレビ東京を退社し、約3年半が経過している。環境の変化についてこう語る。 「変わったというより、やっと少し俯瞰で見られるようになった感じです。僕が会社を辞めたのは45歳。辞めるには遅めの年齢だったので、最初はがむしゃらに仕事を受けました。今年の11月で49歳、来年50歳になりますが、今は冷静に仕事をしています」 本書は「若者とおじさん両方の気持ちがわかる」という佐久間さんの強みを生かし、同じ悩みでも上司と部下の視点から捉え、それぞれに適したアドバイスを展開している。目次を見て、気になる章から読み進めることができる構成が特徴だ。 「どこからでも読めるようにという狙いでした。前作の『ずるい仕事術』は特に20代、30代の方に役立つ内容でした。若い頃に自分のキャリアを組織で潰されないための方法を書いたのですが、相談を受ける中で、ある程度キャリアを重ねた人たちにも役立つ内容を書き足したいと思ったのです」 佐久間さんは現在、自身の会社を立ち上げているが、社員は一人だけ。 「仕事はプロジェクトごとに行っています。会社として受けることもありますが、僕一人がプロデューサーとして入る形もあります。会社として受ければ利益は大きいのですが、その分、経理が煩雑になるので。今は主に3つのチームが動いており、チームごとに部下がいます」 プロジェクトの部下からの相談も受けることがあるという。 「例えば、10年働いてくれた制作会社のディレクターが『ゲーム業界のほうが稼げそうだから転職したい』といったキャリアの悩みです。キャリアの中盤に差し掛かった人たちは特に悩んでいると感じます。さらに、テレビ業界や代理店、メーカーの方からも多くの相談を受けています」 テレビ業界は配信系メディアの影響で、仕事量や単価が下がっているという状況もある。そんな中で危機に直面している人には共通点があると佐久間さんは指摘する。 「キャリアや人間関係を築いてこなかった人は、仕事が一気に減ります。今は、組織内での生き残りだけを考えていては駄目です。業界全体がダメになったときに替えが効かない状況になる。特にテレビ業界では、仕事をくれる人の顔ばかり見て仕事をしていると、その人がいなくなった途端、仕事がなくなるというパターンもあります。自分より若い人が実権を握ったときに、クビを切られるということもあります」