平成ドラマ史上最高のイケメンは? 平成女子をメロメロにした男(3)ドラマ史に残る熱狂的なファンを生んだ名作
平成のドラマには、独特の匂いがあった。明るくてヤンチャな男の子たちは、まさに“平成”という時代そのものを体現している。茶色い髪や着崩した制服、独特の言葉遣いは今やちょっとした憧れの的。軽薄でベタなストーリーも醍醐味だった。というわけで今回は、平成女子たちをメロメロにしたドラマの男性キャラを紹介。第3回。(文・野原まりこ)
山下智久『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系、2005)
原作:白岩玄 脚本:木皿泉 出演:、亀梨和也、山下智久、堀北真希、戸田恵梨香、宇梶剛士、深浦加奈子、中島裕翔(ジャニーズJr.)、岡田義徳、木村祐一、不破万作、たくませいこ、忌野清志郎、高橋克実、夏木マリ 【作品内容】 私立隅田川高校。表向きは明るく人気者だが、どこか打算的な雰囲気を醸し出す桐谷修二(亀梨和也)と、おおらかで自由人の草野彰(山下智久)。2人がいるクラスにある日、冴えない女子生徒・小谷信子(堀北真希)が転校してくる。 修二は、地味な信子を「野ブタ」と罵倒。その一方で、彰は彼女をクラスの人気者に仕立て上げるべく、プロデュースしていく。 【注目ポイント】 ジャニーズ黄金期の中でもトップレベルの人気を誇ったユニット・修二と彰。亀梨和也&山下智久という、当時の最強モテ男の揃い踏みは、多くの平成女子を熱狂させた。 ただ、この2人、基本は「一蓮托生」。修二派・彰派とファンの間でも好みは分かれたものの、切り離しては考えられないコンビだったように思う。 とはいえ、ここでは、あえて彰の方にスポットライトを当ててみたい。というのも、実は彰、企画当初は真面目な優等生の設定だったらしい。しかし、途中でキャラ造形を一新し、我々が知る彰のキャラクターになったのだという。巷では、このナイスな改変に演じ手である山下のアイデアが寄与しているのではないか? とまことしやかに囁かれている。しかし無論、真偽のほどは定かではない。 正直、「~だっちゃ」という彰の口癖は、今見ると少し違和感がある。しかし、当時は、そんな風変わりなキャラクターが視聴者を引き付けていた。こんな無茶が許された点からも、平成という時代が持つパワーをひしひしと感じられる作品になっている。 なお、本作の物語に関していえば、単なる「恋愛ドラマあるある」をなぞっていないという点が人気の理由だろう。 物語中盤、彰は、「野ブタ」への恋心を自覚する。しかし、3人の友情を守ることを優先し、思いを心の引き出しにしまう。彰の見た目と中身のギャップが、本作を予定調和ではない“生きた人間ドラマ”たらしめているのだ。 なお、「野ブタ」は、結局最後までどちらとも結ばれない。この結末の美しさは、本作をより高みへ誘うナイスな展開だったといえるだろう。 (文・野原まりこ)
野原まりこ