【データで選出9・10月月間MVP】ソフトバンク・栗原が攻守で圧倒的な貢献度。セ・リーグ優勝の巨人から3名の投手がランクイン【コラム】
9・10月の大樹生命月間MVP賞がまもなく発表される。それに先立ちデータに主眼を置いた別角度からの評価で、9・10月に最も大きな貢献を果たしていた選手をチェックしたい。 【写真】故障さえなければ…歴代“ガラスの天才”5人
二塁打量産でトップに立った栗原
評価にはWAR(Wins Above Replacement)を使う。WARとは打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価し、控えレベルの選手が同じだけ出場した場合に比べどれだけチームの勝利を積み上げたかを推測した指標だ。図中の打撃、走塁、守備のグラフは、それぞれどの分野で優れた働きを見せたかを表すWARの構成要素となっている。 まずは野手から見ていこう。パ・リーグでは栗原陵矢(ソフトバンク)、セ・リーグでは福永裕基(中日)が、それぞれ2.09、1.80とトップのWARを記録した。 パ・リーグトップの栗原は打撃でリーグの平均的な打者と比較して10.4点分得点を増やしたという評価だ。打率/出塁率/長打率はそれぞれ.320/.372/.602。本塁打数はリーグ4位タイの5本とそれほど目立たないが、長打率.602は100打席以上に立ったパ・リーグの打者の中でトップとなった。これは栗原の二塁打の多さが要因だ。栗原の二塁打数は2位の万波中正(9本)に大差をつけてトップの14本。シーズン通算でも二塁打の多さは際立っており、10月3日の楽天戦では球団記録となる40本目の二塁打を放った。本塁打を打つことだけが長打力の証拠ではないことを改めて実感できる結果だ。 一方福永はセ・リーグの平均的な打者より14.1点分得点を増やしたという評価だ。これは岡本和真(巨人)や牧秀悟(DeNA)といったリーグを代表する強打者をも上回る。福永の打率/出塁率/長打率はそれぞれ.396/.426/.594。9月までは88試合で3本塁打だったが、9月以降はわずか23試合で3本塁打を記録。月間で4割に迫る高打率はもちろん、長打率もリーグ3位(100打席以上)と上位クラスの成績だ。ちなみに福永はシーズン通算で見てもOPS(出塁率+長打率)は.789で、400打席以上立った打者の中ではリーグ9位。強打者という印象はあまりないかもしれないが、シーズン通算で見てもリーグ上位の打力を発揮していた。