サイド継続で異変「おかしくなった」 意識しても直らない…鉄腕が激白した“苦悩”
村上宗隆に浴びたグランドスラム…後にチームメートとなり「気持ちよかった」
もう1つの理由がある。スライダーの変化は「オーバースローからサイドにした時が1番良かったんですよ」と苦笑いする。自分だけの武器で成績を残したが、体には大きな変化が生まれていた。「サイドを続けていたら体がサイドになるんです。いろんなところからおかしくなって、それを直そうと思ったんですけど。だから宮西(尚生投手、日本ハム)さんとかはすごいです」。投球において、縦振りから横振りになってしまった。意識しても直せないレベルになり、少しずつ“キレ”は失われてしまった。 嘉弥真が印象的な対戦と振り返るのは、2021年6月11日のヤクルト戦(PayPayドーム)。6回2死満塁、打席には後にチームメートとなる村上宗隆内野手だ。フルカウントからスライダーを投じたが、右翼席に消える満塁弾となった。「あれは投げミスではないんですけど、もうちょっと外に投げられればよかった。ホームランは4点、歩かせたら1点。順番があって、1番最悪になってしまったので、(捕手だった甲斐)拓也も『めっちゃ怒られた』って言っていました」と、痛恨の1球だった。 今季から村上と同僚になると「村上も『気持ちよかった』って(自分に)言ってきましたね」と笑い飛ばす。「僕1回村上と対戦して三振を取っているんですよ。(2021年の東京)オリンピックの前かな。僕もちょっと大丈夫だろうというか。(打たれた時は)スライダーの低めを打たれて、『うわあ』って思いました」と過去の経験も生かそうとしたが、結果には繋げられなかった。現役生活を振り返ると「打たれた記憶の方が残っている」という嘉弥真らしいシーンでもあったのかもしれない。 通算472試合に登板し、137ホールドを記録した。「本当に短かったです。一瞬でしたけど、自分1人では無理だった。関わってくれた人には感謝の気持ちです」。胸を張れる13年間だった。
竹村岳 / Gaku Takemura