英紙が驚く「大谷の肩の負傷に、総選挙の結果と同じくらいの紙面が割かれる日本」
英紙「ガーディアン」は、10月27日付けで「ふたつのことに心奪われた日本:総選挙と大谷翔平の肩」と題した記事を掲載し、次のように報じた。 米紙が報じる「大谷翔平の持つ『神秘性』がドジャースの歴史を変える」 「月曜日、日本の新聞は総選挙の結果で持ちきりになるだろう。だが、大接戦となった今回の投票を受けての政治的未来に関する憶測は、何千キロも離れた場所で起きている別の出来事と紙面を争うことになる。たったひとりの男──大谷翔平によって」 10月26~27日の週末にかけて、日本では衆院総選挙の投開票が、米国ではワールドシリーズの第2戦がおこなわれた。今後の日本にとって重要な出来事である総選挙と、ドジャースの大谷が試合中に肩を負傷したニュースの注目度が同等なことに、英紙も驚いているようだ。アニメ『ONE PIECE』の最新シリーズの放送開始がワールドシリーズのスケジュールと重なるため、1週間延期されたことにも触れている。 大谷が怪我をしたのは26日、二塁盗塁を試みたときだった。左肩を亜脱臼したという。負傷を受け、地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」は「怪我した大谷抜きでもドジャースは勝てるが、誰もそんな未来を望んでいない」と題した記事を掲載し、彼の動向を案じる声を次のように報じた。 「大谷は野球界の顔であるだけでなく、もはや『野球』そのものでもある。ドジャースがワールドシリーズで優勝したときに彼が傍観者になってしまうとしたら、どれほどがっかりするだろう?」 また、米誌「ハリウッド・リポーター」によると、日本では1590万人が試合を視聴した。これは人口の約12%に相当する数字で、米国を大幅に上回っている。米国野球の放送において、日本の視聴者数が米国を超えるのは「初めてのこと」だそうだ。 前出のガーディアンは、日本野球に詳しい、『菊とバット』の著者であるロバート・ホワイティングに取材している。ホワイティングは、日本における大谷の人気はその気さくな物腰だけでなく、「米国人選手を米国の基準で打ち負かすことができる」力があるからだと分析している。 「日本野球を批判する人たちは、選手たちは技術には長けているが、米国の選手たちのような体格や強さがなく、野球という競技を果てしないトレーニングや精神面を重視した武道のようなものにしてしまった、と言います」 「しかし、大谷は多くの米国人選手よりも大きい。彼の打つホームランは飛距離が長く、投げるスピードも速い。彼の存在は日本人にとって、日本人であることを誇りに思わせるものなのです」 なお、大谷は怪我をしながらも第3戦に出場した。ドジャースは4対2でヤンキースに勝ち、ワールドチャンピオンに王手をかけている。
COURRiER Japon