中国経済、回復に偏り-工業生産は堅調も消費出遅れ
(ブルームバーグ): 中国の工業生産が4月も堅調に推移する一方、小売売上高は2022年以来の低い伸びにとどまった。中国経済の不均衡な回復が浮き彫りとなっている。
国家統計局が17日発表した4月の小売売上高は前年同月比2.3%増と、3月の3.1%増から伸びが鈍化した。ブルームバーグ調査の予想中央値は3.7%増だった。工業生産は前年同月比6.7%増加。予想は5.5%増だった。
1-4月の固定資産投資は前年同期比4.2%増。4.6%増加と見込まれていた。
住宅危機が内需を圧迫し続けており、輸出主導型の製造業が中国経済をけん引してきた。輸出は4月に増加に転じ、製造業活動が2カ月連続で拡大を示した。だが、消費者物価はなお低迷している。
マッコーリー・グループの中国経済責任者、胡偉俊氏は「最も重要な点は中国が2つの異なるスピードで回復しているということだ」と指摘。強弱が混在するデータは、政府が支援を強化するきっかけにはなるかもしれないが、大きな転換にはつながらないだろうと述べた。
習近平指導部は追加の支援策を示唆している。景気てこ入れに向けたインフラ整備の資金を調達する1兆元(約21兆5700億円)規模の超長期特別国債の発行も17日から始まる。銀行による購入を下支えするため、金融緩和期待も広がっている。
国家統計局の劉愛華報道官は会見で、「4月の国民経済は全体として安定的に推移した」と説明。一部指標が伸び悩んだ原因として、比較対象となる前年の水準が高くなるベース効果や季節的な要因を挙げ、「新たな成長のけん引役は急速な伸びを維持し、経済は回復・改善傾向を続けている」と語った。
統計局は外部環境の「複雑さや厳しさ、不確実性」が高まっているとし、今後に向けて課題が残ると指摘。既存のマクロ経済政策の早期実施を呼びかけた。
ジョーンズ・ラング・ラサールの大中華圏担当チーフエコノミスト、龐溟氏は「消費財の買い替えプログラムによる効果はまだ出ていない」と分析。景気の先行き不透明感が消費を妨げる恐れがあるとし、「全般的に消費者の期待はまだ好転していない」と述べた。