男子バレー、再建を託す次期監督は外国人監督がベストか?
「私は高校生を教える機会が多いが、大きい選手でレシーブをやったことがない、という選手が少なくない。リベロが入るので、大型選手にレシーブ練習やらせないチームが多いのだ。高校生までの段階では、そういう方針は、撤廃させて全員に同じ練習をさせる必要があると思う。大学、社会人で、ポジションは別れていいが、守備をやらせれば能力のある選手がいるかもしれない。伸ばせる可能性のある能力を潰してしまっている。それさえできれば2メートルを超えるサイドスパイカーが生まれるかもしれない。 また高校生と触れ合うと、彼らは、全日本のチームは次元が違う世界だと思っている。『海外では20歳で主力なんてザラにいる。次の東京五輪で君たちが戦力になるんだよ?』と話をしてもピンときている選手も少ない。次の代表監督、強化スタッフは、もっと高校世代から回って代表候補を発掘して、その世代にも現実問題として代表を意識させておかねばらないと思う」 山本氏は、協会がリーダーシップをとって、中学、高校世代の指導要領も見直すべきだという意見を持つ。日本バレーの再建に向けては、ビジョンを固めて、底辺の環境整備とマネジメントが4年後、8年後を見据えて必要だろう。 では、これらのテーマを推し進める監督には、どんな人物が最適なのだろうか。 すでに南部監督は、協会に進退を委ねているが、山本氏は、あくまでも個人的なひとつの意見だと断った上で、サッカー界が代表監督を外国人に委ねたケースがあるように、外国人監督の検討も提案する。 「監督は、緻密な戦術、戦略を持っていて実行のできる外国人がベストなのかもしれない。サーブを妥協なく打ち込ませることができて、チームを束ねるという意味では、日本人監督でもいいかもしれないが、その場合、ポジション別の専門コーチを海外から呼べばどうだろうか。セッター、ブロック、ディフェンス、サーブと、部署、部署に専門コーチを呼び、新しい技術を徹底して教えてもらうというスタッフの構成を考えてみてもいいのではないか。総力でチーム強化にとりかかる必要があると思う」 山本氏は、パナソニック時代に、今回、五輪出場を決めたイランのラウル・ロサノ監督から臨時コーチとしてブロックシステムを学んだことがある。ブロックとレシーブを連動させるトータルディフェンスのシステムを妥協することなく叩きこまれた。 「ブレイクをとらないと勝てない。サイドアウトでは勝てないという考え方。で、ブレイクをとるための練習を徹底した。サーブ、ブロックとディフェンスの関係、そこから入ってくる。日本はどちらかと言うとサイドアウトを取る練習から入るが」 ポーランドを世界選手権で準優勝させ、ドイツの代表監督も務めた職人監督から短期間だったが大きな刺激と知識を得たという。 ロンドン五輪後に協会が監督候補を公募した際、このウウル・ロサノ監督も、イランを強豪チームに変える土台を作り、現在、アルゼンチン代表監督のフリオ・ベラスコからも、応募があったとも言われる。だが、なぜか、日本協会が選んだのは、代表監督経験も実績もないゲーリー・サトウ氏だった。