石川直「幸福感を感じて」 10年ぶりの『ブラスト!』オリジナルバージョン上演へ
12種類以上の金管楽器、51種類以上の打楽器の演奏のほか、フラッグや手具を駆使したダンスパフォーマンスが繰り広げられるパフォーマンスショー『ブラスト!』が、7月30日(火)から8月12日(月・休)の東急シアターオーブでの公演の他、全国各地21会場で48公演上演される。 パーカッションとして『blast ブラスト!』に参加する石川直 パーカッションとして本公演に参加する、石川直。5年前の『ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニー』をもって“卒業”を宣言していた石川だが、「コロナ禍でパフォーマンスができなかった期間にいろいろなことを考えました。我々エンターテイナーは、場面を用意してもらって、そこで初めて力を発揮することができる。だからすべてがストップしてしまうと、何もできなくなってしまう無力感を感じました」と思いを吐露しつつ、「同時に、エンターテイメントが持つ可能性やパワーにも気づかされました。そんな中で、この身体が動く限りはパフォーマンスを続けたいという気持ちがやはり強かった。今回、オファーをいただき、ありがたく引き受けました」と出演の経緯を話す。 今回上演されるのは、シリーズの原点と言えるオリジナルバージョンで、10年ぶりの上演となる。石川は「シンプルに楽しみです。ディズニーバージョンももちろん楽しかったですが、オリジナルは打楽器がフィーチャーされる場面が多いので、パーカッショニストとしてはもっと楽しめるなと思うんです」。そして「TikTokやYouTubeなどで、世の中のすごい人たちをいくらでも見られるようになりましたよね。ちょっとやそっとのことでは皆さんも驚かないと思うんです。だから期待を更に超えていけるようなものを作れたら」とも語る。 『ブラスト!』の魅力はやはり「生」ということ。石川は「ほんの10年前は音楽やクリエイティビティの分野にAIは関与してこないだろうと言われていましたが、今は簡単にAIが音楽をつくる時代になりましたし、今後もこの流れはストップできないと思うんです」と状況を分析。「でもだからこそ、生身の演奏の価値はどんどん上がると思っていて。何より、長年パフォーマンスをしてきた自分としても、演奏や表現をしているときは、充実感や没入感を感じて、すごく幸せなんですよね。だからこれからクリエーションをしようとしている若い世代の人たちにこそ見に来てもらって、生身の人間がパフォーマンスするからこそ体感できる幸福感を感じてほしいし、それを次に繋いでいってほしいなという気持ちがあります」。 改めて石川にとって『ブラスト!』はどんな作品なのか。石川は「僕のライフワークだと思っています。自由に激しく自分のエネルギーを出せる『ブラスト!』はとても貴重で最高の場です」といい、「40代で『ブラスト!』に出演している人はいましたが、50代になってもやっている人はいなかった。もし来年もツアーが行われることになって、僕も参加できることになったら、ちょうど50歳になっているんですね。〈50歳を超えても『ブラスト!』に出る〉という夢が一つ叶うので、これからも舞台に立ち続けたいです」と話していた。 観客へのメッセージを求めると、「『ブラスト!』は音楽の知識がない方でも全然見にきていただける、お祭りのようなものだと思います。老若男女誰が見ても楽しめます。まだ見たことがない人、特に音楽や表現を今一生懸命やっている若い人たちに体感しにきてもらいたいですね」。 取材・文:五月女菜穂 <公演情報> 『blast ブラスト!』 公演日程:2024年7月30日(火)~8月12日(月・休) 会場:東急シアターオーブ 他、全国各地21会場で上演