【解説】大阪・関西万博まで半年 小中高校にチケット代などの補助を計画も…「約7割が参加に消極的」行かない理由は? 香川
KSB瀬戸内海放送
開幕まであと半年余りに迫った「大阪・関西万博」についてです。香川県は、児童生徒に修学旅行や校外学習などで万博を訪れてもらおうと、県内の小中高校など全校を対象に入場チケット代や交通費などを補助する計画です。しかし、全体の約7割が参加に消極的な意向を示しているんです。一体なぜなのでしょうか? 「万博への参加予定は?」小中高校などを対象にしたアンケート結果>>>>>>
■香川県は万博に参加する学校の支援を計画 2025年4月13日から10月13日までの184日間、大阪市の夢洲で開かれる「大阪・関西万博」。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、約160の国や地域が参加する予定です。 会場ではそれぞれの国や参加企業がパビリオンを出展。また、自動運転の実証実験が行われるなど、未来のエネルギーやデジタル技術などさまざまなものを体感できるというものです。 (2025年国際博覧会協会/木嶋淳 地域・観光部部長) 「各国のナショナルデーとかスペシャルデーとか、イベントは毎日違ったものがされていますので、何回来ても別のものが楽しめる。パビリオンの中では未来の生活がどういうふうになるのかとか、デジタル技術を用いた展示とか、各国の固有の文化に触れられる体験などもございます」 香川県は「未来を担う子どもたちの体験学習支援事業」として修学旅行や校外学習などで大阪・関西万博に参加する学校の支援を計画しています。 県内の小中高校生などの入場チケット代全額と、交通費は1クラスあたり10万円を上限に実費の2分の1を補助することとしています。 予算は全校分を確保していて、2025年度にわたって支出する債務負担行為4億1800万円余りを設定しています。 (香川県/池田豊人 知事[定例会見 7月16日]) 「万博を県内の生徒、児童にもぜひこの機に見て、将来の糧としてほしいと」 2025年7月に5年生の校外学習で万博に行くことを計画している高松市立の小学校は――。 (万博に参加予定/高松市立小学校の校長) 「とてもいい機会だと捉えていますので何らかの形で子どもたちの学ぶ場となればありがたい。子どもたちの自主性につながるような学びになればいいなと思っています」 会場周辺の交通渋滞などを懸念していますが、現在、実施に向けて旅行会社と協議している最中です。 (万博に参加予定/高松市立小学校の校長) 「どんなルートでどんな日程でいけるのかを相談している途中であります。行くまでにいろんな情報を集めながら(渋滞など)トラブルに巻き込まれないようにしていきたいと思っています」 ■県内の小中高校の約7割が「参加予定なし」「参加しない方向で検討」 2024年4月、香川県教委が県内の小中高校289校などを対象にしたアンケートによると、こちらの学校のように万博に「参加予定」「参加する方向で検討中」と答えた学校は全体の3割ほどにあたる82校でした。 そのうち53校が修学旅行、29校が校外学習として参加するとしています。 (香川県教育委員会 総務課/脇悠介 課長補佐) 「県の補助があることで参加しやすくなった。楽しみにしているといった意見がありました」 一方で、約7割にあたる203校が「参加予定なし」「参加しない方向で検討」と答えました。 「行かない」小学校にその理由を聞くと……。 (参加しない 高松市立仏生山小学校/渡邊弘明 校長) 「選択肢としては入らなかった状況があります。すでに大阪・奈良・京都の見学地が1年前から決まっていますので、そちらの方を今は考えています」 高松市立仏生山小学校ではすでに2025年度の学校行事が決まっています。6年生の1泊2日の修学旅行では1日目に歴史の授業で学ぶ金閣寺や東大寺を。2日目は大阪のテーマパーク「ユニバーサルスタジオジャパン」でグループ活動を行う計画です。 (参加しない 高松市立仏生山小学校/渡邊弘明 校長) 「1年ぐらい前まで変更は可能なんですけど、実際見て写真よりどれだけの大きさ、素晴らしさかを体感することができる。グループ活動の中でも友だちと相談しながらどこへ行くとか、その場で判断して行動するという教育的な価値があります」 淀谷教育長は9月の記者会見で予算は「全校分」を確保したものの、実際に参加する学校分を計上する方針を示し、消極的な学校に対して「行くように働き掛ける性質のものではない」としました。 (香川県教育委員会/淀谷圭三郎 教育長) 「未来社会のデザインの現場をですね、教育的観点から見たいという学校教育上の判断をされている、されるところがあれば県として応援しますよという趣旨ですから、特に働き掛けというようなことはしていないですね」 ■大阪・関西万博に「行かない理由」は? 香川県教委のアンケートで「行かない理由」として最も多かったのは「会場や交通機関での混雑が懸念される」で、次いで先程の小学校でもあったように「教育活動のコースが決まっている」という理由、「万博に参加することで費用が厳しくなる」などとなりました。 そして今回、取材をしていて複数の学校が口にしたのが「万博の概要がつかみづらい」「実際に何を学べるのかが見えない」というものでした。 一方、香川県はこの万博を地域の活性化につなげようと機運の醸成にも力を入れています。 万博の公式キャラクター「ミャクミャク」に扮した、香川県の池田知事が万博をPRするポスターです。 2024年4月には万博協会の副会長を務めている大阪府の吉村知事と「連携PR宣言」。香川県が万博に出展するブースの「未来の伝統工芸」について子どもたちにアイデアを出してもらうワークショップも開いてきました。 県が狙うのは、合計2820万人と見込まれる来場者に香川をPRし、認知度を向上させること。そして、同じ時期に開催される瀬戸内国際芸術祭との相乗効果も含め、観光客を呼び込むことです。 (香川県/池田豊人 知事) 「世界中から、全国から人がこの機に集まってくるわけですから。チャンスがあればまた、こちら(香川県)にも来ようとなると思います。できるだけそのチャンスを増やさないといけない」 ■専門家「もっと具体的な中身のPRが必要」 地域経済に詳しい専門家は、機運を高めるには未来の暮らしがどうなるのかなど、もっと具体的な中身のPRが必要だと話します。 (香川大学経済学部/西成典久 教授) 「万博で何が行われるかってところをしっかりと知らせる。たとえば『自動運転がこうやって走るんだ』ってより視覚的にも分かったりとか、行ってみたいと思えるような具体的なコンテンツが必要になってくるかなと」 大阪・関西万博を巡っては工事の遅れや建設費の増額などの問題が噴出したこともあり、内容面にあまりスポットが当たっていないことも盛り上がりにつながっていない要因のようです。 香川県は10月14日、香川県が万博に出展する催事の内容になぞらえた「プレイベント」をサンポート高松で開く予定です。
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