セリエAの復権を象徴するアタランタのEL制覇 攻撃陣3枚のポジションが勝負を分けた
【スペインを抜いたイタリア】 3-0。番狂わせとまでは言わないが、もう一度戦えば、違った結果になっていたかもしれない一戦だった。ELはCL以上に、顔が見えにくい相手との戦いになる。下馬評は覆りやすい。当初、大本命に挙げられていたリバプールが準々決勝でアタランタに不覚を取った理由とも通底する。ユベントス、インテル、ミラン、ナポリ、ラツィオ、ローマはともかく、人口12万の地方都市ベルガモに本拠地を置くアタランタは、少なくともイタリア以外の国の人にはまだまだ謎めいて見える。 まさに伏兵ながら好チーム。そのアタランタが5位に鎮座する国内リーグ=セリエAが、欧州でポジションを上げるのは当然かもしれない。今季、イタリアはついにスペインを抜き、UEFAランクでイングランドに次ぐ2位に上昇した。2位の座に就くのは2006年以来18年ぶり、スペインを抜いたのは1999年以来、25年ぶりの出来事となる。5月29日(現地時間)に行なわれるカンファレンスリーグ決勝(オリンピアコス対フィオレンティーナ)の結果次第では、イングランドにもポイントで肉迫する。欧州の盟主の座も狙えようかという復権ぶりである。 逆に元気がないのはスペインだ。CLでレアル・マドリードが圧倒的な強さを発揮しているにもかかわらず、リーガ全体のレベルは下がっている。プレミアもひと頃ほどではない。 一方、イタリアとともに元気がいいのはドイツだ。現在4位ながら、スペインの背中は見えている。6月1日に行なわれるCL決勝レアル・マドリード対ドルトムントは、UEFAランク3位と4位を懸けた戦いとなる。欧州は、イングランド、スペインの2強時代から、4すくみの時代に移ろうとしているのかもしれない。
杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki