開業50周年を迎えた小田急多摩線を、地元の「撮り鉄」目線でご紹介
多摩線、相模原線は並走しながら再びトンネルへ。抜けると永山駅に到着。次の多摩センターともども、駅名にはそれぞれの会社名を冠している。壁を隔てて互いの様子は見えない。永山を出ると、次の多摩センターまでが、本格的な並走区間だ。ほとんどが高架で、ちょうど中間地点あたりに両線をまたぐ歩道橋があるが、「電車見橋」とは違って目張りがされていて線路は見えなかった。 「撮り鉄」には残念な区間も、「乗り鉄」は楽しめる。筆者が乗車した相模原線の電車が、ほぼ同時に小田急永山を発車した多摩線の電車との〝デッドヒート〟となり、途中から京王がぐんぐん引き離したと思ったら、多摩センターに近づくと京王が先に減速し、小田急が鮮やかに〝差し切った〟ことがあった。 京王が先にスピードを落としたのは、駅の構造に関係がありそうだ。乗り合わせたのは都営新宿線から直通する多摩センター止まりの区間急行。2面4線の外側の1番線(待避線)に入線する際、ホーム手前のポイントで進路を変える必要があったため早めに減速したのだろう。多摩線のホームも2面4線に見えるが、かつて使用されていた外側の待避線は、現在本線と接続していない。ポイントは撤去され、ホーム脇に分断されて残った錆(さ)びた線路が寂しげだ。
ともに多摩ニュータウンと新宿を結ぶ小田急と京王は「ライバル」視される。ただ、京王相模原線が10両編成で新宿か都営新宿線の本八幡まで直通するのに対し、小田急は本数が少ないうえに半分程度が多摩線内で折り返す6両編成の各駅停車。運賃も京王の方が少し安い。朝のラッシュ時には小田急が多摩センター始発の「通勤急行」を設定、速くて座れる点をアピールして健闘しているが、永山、多摩センターとも1日の乗降人員で京王に水をあけられている。 話がそれてしまったが、多摩センターはニュータウンの中心地であるとともに、多摩線唯一(?)の観光地、サンリオピューロランドの最寄り駅で、商業施設も充実している。沿線に大学が多い多摩モノレールの始発駅でもあり、ホームからは小田急、京王の電車と、その上を走るモノレールを絡めて撮影できる。 さて、この先は相模原市の橋本駅へ向かう京王線と別れ、多摩線は終着駅の唐木田へ。広々としたホームの先には、巨大な車両基地(喜多見検車区唐木田出張所)がある。小田急が6月2日に企画した「多摩線開業50周年記念ツアー」で、筆者も初めて敷地内に入った。ずらりと並んだ車両を撮影しながら、担当者の案内で最も奥まったところへ。留置線は21番線から33番線まで番号が付いているが、唐木田駅からまっすぐにつながっている壁際の2本の線路は「本線と同じ扱い」とのこと。唐木田のホームは1~3番線、その先の車両基地内の当該線路は4、5番線となっていて、留置線より少し高い位置にある。担当者は「将来的に何がしたかったか、想像できる造り」と説明した。