<eye>誰もが輝くランウエー 東京・原宿「シブヤフォントラボ」
拍手と歓声の中、舞台照明に照らされたランウエーをモデルたちがさっそうと歩く。モデルは障がいのある人や、その家族、福祉施設職員、スポーツ選手も。 【写真特集】ファッションショーや準備風景はこちら 4月に開業した東京・原宿の商業施設「ハラカド」にある「シブヤフォントラボ」でファッションショーが開かれた。「ショウガイはへんしんできる」をテーマに、障がいの有無に関わらず誰にでも無限の可能性があることを表現した。 東京都渋谷区内の障がい者支援事業所と協力してデザイン事業を行っている一般社団法人「シブヤフォント」が企画。資金はクラウドファンディングで集め、約300万円の寄付でまかなった。運営の責任者、「シブヤフォント」の坂本清子さん(60)は「ファッションショーを通じて、障がいのある人と健常者が出会い、お互いが理解し変わっていくような機会になれば」と思いを話した。坂本さんが以前勤めていたアパレル会社で知り合った人たちに声を掛け、取り組みに賛同してもらい、ファッション業界の第一線で活躍するプロのクリエーターの協力を得た。衣装の制作には渋谷区の福祉施設「アトリエ福花(ふっか)」を中心に区内11の施設が参加した。 「テレビを見て、モデルはかっこいいなと思っていた。お客さんがかわいいって言ってくれて楽しかった」。モデルを務めた竹森由維(ゆい)さん(29)は笑顔で話した。普段は区内の福祉作業所に通所し、クッキーなどのお菓子を作っている。母浩子さん(59)は「非日常的な体験ができて、周りの人たちに本当に感謝しています。娘も他の子たちも今までに見たことがない表情でキラキラしていて、感動しました」と目を細めた。 舞台演出、衣装などショー全般を担当したスタイリストの人見千紘(ちひろ)さん(38)は「障がい者、健常者関係なく、モデルも観客もスタッフもみんなが笑顔になれて、やりがいがありました」と話した。 「シブヤフォントラボ」では今後、福祉作業所によるモノ作りの実演販売、アート制作のワークショップなどを企画している。障がいのある人と健常者の「実験的出会いの場」となることを目指している。【長谷川直亮】