プロ初先発初勝利の阪神・山本が仰天行動?
阪神の連敗ストップ、5割復帰、首位返り咲きを導いたのが、プロ初先発を初勝利で飾った2年目の左腕、山本翔也(26)だ。4日、横浜スタジアムで行われた横浜DeNA戦で5回を投げて6安打2失点。敵地でヒーローインタビューに呼ばれた山本は、「最高です!」と、まだ緊張の残る面持ちで答えた。 ルーキーイヤーの昨季、左のワンポイントとして7月に1軍昇格して2試合に投げプロデビューはしていたが、先発は初。試合後、和田監督が明らかにしたところによると、緊張のあまり、ビジターなのに先攻と後攻を間違えて、先に先発マウンドに上がろうして周囲にたしなめられたという。余り聞いたことのない仰天行動である。 だが、プレイボールがかかると、元巨人の守護神、角盈男のような独特のリズムと、タイミングでややサイドから投げる投法に横浜DeNA打線は、手玉にとられた。ストレートの最速は142キロで、そのほとんどが130キロ後半だが、左打者の背中から出てくるようなストレートと、2種類のスピードの違うスライダーにチェンジアップ、フォークを織り交ぜながら的を絞らせない。 真骨頂は度胸。 「投げっぷりがいい。インコースを攻める闘争心があって手こずらされた。うちのピッチャーの反面教師だね」と、敵将、中畑監督が絶賛したほどの強気の攻め。極限の緊張状態にあった一回二死三塁のピンチでもカウント2-2から筒香のインサイドを怖がらずにストレートで攻めスイングアウト。5回には、梶谷に変化球をうまくバットに乗せられ、2点タイムリーをフェンスまで運ばれたが、なお残る同点のピンチで、4番の筒香に、ほぼど真ん中のストレートで勝負。一瞬、タイミングをずらすフォームと、実際のボールのキレのギャップを使い、ハマの主砲の当たりはレフトの正面を突いた。 しかも、ボールが適当に散るから、その「つかみどころのないピッチング」(和田監督)が、横浜DeNA打線を翻弄した。速くないボールを速く見せる技術は、とても2年目とは思えぬ才能。変化球は“緩む”のだが、その弱点を狙われる前にマウンドを降りて阪神のローテーションの谷間を埋める救世主となった。