Project Nyxがニューヨークのアンダー・ザ・レーダー・フェスティバルに参加 寺山修司『青ひげ公の城』を上演
水嶋カンナ主宰のProject Nyxが、2025年1月15日(水) から18日(土)に、ニューヨークのジャパン・ソサエティにて、寺山修司の代表作のひとつである『青ひげ公の城』を上演する。 2022年『青ひげ公の城』より 2006年に水嶋が立ち上げたProject Nyxは、宇野亞喜良の美術・衣裳、金守珍の演出を基盤に、不朽の名作から知られざる傑作まで、忘却の彼方に漂うイメージに息を吹き込み、現代のパフォーマンスとして蘇らせる実験演劇ユニット。彼らがひとつの指針としているのが、寺山修司による美女劇だ。2022年には新宿梁山泊代表の金守珍が、Project Nyxで演出を手がけた『青ひげ公の城』、新宿梁山泊での『下谷万年町物語』の演出で第57回紀伊國屋演劇賞を受賞、現代のアングラ演劇の存在感を強くアピールした。 Project Nyx が今回参加するのは、2025年1月4日(土) から19日(日) まで、ニューヨークで開催される国際演劇祭、アンダー・ザ・レーダー・フェスティバル。同フェスティバルは、優れた現代演劇作品でありながら、まだ米国の舞台芸術ファンが触れていない、あるいは米国で上演されることが稀な作品を世界中から招き、上演している。ニューヨークでは1970年代にラ・ママ実験劇場が寺山修司の天井桟敷を招聘しているが、Project Nyxでは50年の時を経てアップデートされた現代のアングラ演劇と、その世界観と破天荒で斬新な表現手法を、世界の舞台芸術の中心であるニューヨークで紹介すべく、『青ひげ公の城』の上演に取り組むという。 『青ひげ公の城』は、1979年、演劇実験室◎天井桟敷が西武劇場で初演。パルトークのオペラにもなり、妻をめとっては次々に殺したという、中世フランスに伝わる青ひげ伝説をモチーフにした戯曲だ。Project Nyxの上演では、物語の重要な要素である“虚構”と“現実”、そして“虚構と現実の狭間”を、現代社会における、“ユートピア(理想)”と“戦争とコロナ(現代における現実)に置き換え、理想と現実の狭間で揺れ動く現代人のアイデンティティ、生きる指標や希望を描きだす。演出面では空中浮遊や瞬間移動など、大掛かりで本格的なマジックの手法と、古典的な奇術の世界観を取り入れながら、「奇術と演劇の融合」を通して物語の虚構性を表現。さらに大正ロマンの雰囲気を漂わせたレトロでノスタルジックな曲調を持ち味とした演奏が世界的にも評価の高い音楽ユニット・黒色すみれによる生演奏や、サーカスとダンスを融合したエアリアル(空中舞踊)など、従来の演劇の枠にとらわれない多様な表現を取り入れ、アングラ演劇の劇世界を構築する。また、宇野亞喜良の指導による妖しく華麗な舞台装置と、ファッション業界でも活躍する大久保美幸のヘアメイク、笹木明日香の衣裳により、Project Nyxが創立以来重視してきたビジュアル表現も充実させた舞台となっている。 なお、現在Project Nyxでは『青ひげ公の城』NY公演実施支援プロジェクトのクラウド・ファンディングを実施している。 【『青ひげ公の城』あらすじ】 オーディションで選ばれたひとりの少女が、舞台『青ひげ公の城』の第7の妻を演じるために、劇場を訪れる。期待を胸に少女が飛び込んだその場所は、実は劇の世界とも現実の世界とも区別できない奇妙な空間であった。これまで青ひげ公の妻を演じてきた6人の女優達が次々と現れるが、肝心の青ひげ公は一向に姿を見せない。中盤、少女は実の兄(照明係)が劇中で殺された事実を知らされる。虚構と現実がさらに交錯し、そればかりか、第8の妻までが登場し、さらなる迷宮へと迷い込む……。 <公演情報> Project Nyx『青ひげ公の城』 作:寺山修司 演出:金守珍 オブジェ:宇野亞喜良 日程:2025年1月4日(土) ~19日(日) 会場:ニューヨーク・ジャパン・ソサエティ 出演:水嶋カンナ/ 山崎美貴(文学座) / 山上優 / 小谷佳加(劇団文化座)/ 若林美保 藤田怜 / 染谷知里 / 諸治蘭 / 本間美彩 / 河西茉祐 / 山田のぞみ / 伊藤さやか/ 南蔵院瑠璃 / 芳田遥 / 手塚日菜子 / 月岡ゆめ 演奏:黒色すみれ マジック:渋谷駿 / 浅井香穂(アシスタント)