ダウン奪うもブーイング飛ぶ“塩試合”でWBA世界バンタム級正規王者となったリゴンドーが井上尚弥との統一戦熱望
プロボクシングのWBA世界バンタム級王座決定戦が8日(日本時間9日)に米国ペンシルベニア州アレンタウンで行われ、元WBA、WBO世界スーパーバンタム級王者のギジェルモ・リゴンドー(39、キューバ)が、元WBA世界スーパーフライ級王者のリボリオ・ソリス(37、ベネズエラ)に2―1のスプリットデシジョンで判定勝ちし、階級を下げての逆2階級制覇を達成した。同級のスーパー王者は、井上尚弥(26、大橋)で、WBAはスーパー王者との統一戦を指令しないが、リゴンドーは”モンスター(井上)”との対戦を熱望した。井上は、WBO同級王者ジョンリール・カシメロ(30、フィリピン)と4月25日に米国で3団体統一戦を戦うが、その次の候補として急浮上してきた。リゴンドーの戦績は20勝(13KO)1敗1無効試合となっている。
7回にロープへぶっ飛ばすダウン
会場はブーイングに包まれた。最終ラウンド。勝利を確信したかのようにリゴンドーは、ノーガードでソリスの攻撃をディフェンスするのみで殴り合う姿勢を示さない。これがシドニー、アテネの五輪2大会連続金メダリストのスタイルと言えばスタイル。だが、ファンの共感は呼ばなかった。逃げ切りを図ったが、判定の蓋をあけると「115-112」「116-111」「112-115」の冷や汗のスプリットデシジョンでの勝利だった。 試合後、すぐにメディア対応したリゴンドーは、スペイン語の通訳を通じて、「ソリスは素晴らしいボクサーで苦労したが、どちらが優れたボクサーかはわかったはずさ」と、まくしたてた。 1ラウンドはソリスの接近戦に手を焼き、ボディ攻撃から、左フックを浴び思わずクリンチに逃げた。終了間際にも右フックをクリーンヒットされてぐらついた。だが、2ラウンドに入ると、しっかりと距離をとり、サウスポースタイルから右のジャブだけで牽制、左のカウンターを狙うという、いつものリゴンドーの技巧派スタイル。3ラウンドからは場内からブーイングが飛び、5ラウンドにはソリスが両手を広げて「打ち合え!」とアピールする場面も。だが、歴戦のリゴンドーはしたたかだった。 7ラウンドに電撃の左アッパー。ソリスのダメージを確認すると、左のフックを振り回してロープにぶっ飛ばした。レフェリーが間に入ってダウンをカウント。残り時間は2分あったが、この決定的チャンスにリゴンドーは詰め切れない。それでも、ここから一気に形勢は逆転。10ラウンドにもコーナーで体を入れ替えたと同時に左ストレートで顎を打ち抜き、ソリスの動きがピタっと止まった。終盤はリゴンドーが支配した。 さてメディアの注目は、次戦。井上尚弥との対戦である。 「俺は誰とでも戦う。リングに上がりたいと思う誰とでも対戦できる。ファンは誰と戦うのを見たいのだ? 誰とでも戦う準備はできている。井上? 今は適正階級にあるので、モンスター(井上)狩りに出よう」 リゴンドーも井上戦を熱望した。 全米メディアもリゴンドーvs井上の可能性と、勝敗の行方についての見解を次々と報じた。