木戸大聖の笑顔は幅広い年齢層の視聴者を虜にしてしまう

　近年連ドラのスピンオフ作品が配信限定で公開されるケースが増えているが、その場合、スピンオフは本編と異なる脚本家が手がけるケースが多い。だが、本作に関してはスピンオフも生方が脚本を手がけており、本編への没入度をさらに高める内容となっている。また見逃せないのが、木戸大聖の演技だ。木戸はNetflixで配信されたドラマ『First Love 初恋』でブレイクを果たした。同作で八木莉可子とともに、佐藤健演じる晴道と満島ひかり演じる也英の淡い青春時代を体現した木戸。『ゆりあ先生の赤い糸』（テレビ朝日系）では菅野美穂演じるゆりあと年の差恋愛に発展する便利屋の“伴ちゃん”、『9ボーダー』（TBS系）では川口春奈演じる三姉妹の次女・七苗に片想いする幼なじみの陽太をそれぞれ好演した。印象的なのは、その混じり気のないピュアな演技。豊かな表情が愛らしく、特に少年のような眩しい笑顔は幅広い年齢層の視聴者を虜にしてしまう。今最も、人々を沼落ちさせている俳優と言っても過言ではないだろう。 　スピンオフでもそんな木戸の魅力が溢れており、誰からも不思議と愛される大和のキャラクターを体現している。今回配信された最終話で映し出されるのは、大和と海の出会いだ。本編ですぐに打ち解けた2人の仲睦まじい姿は、何時間でも観ていられるほどに愛らしい。そんな2人には、実母を早くに亡くしているという共通点がある。「ママのこと、ちゃんと覚えてる？　ずっと会わないと忘れちゃわない？」あと海に聞かれた大和の回答は必聴だ。“はじまり”があれば、“おわり”があって、命もいつかはおわる。だけど、“おわり”も“はじまり”と同様に曖昧で、残るものは必ずある。大切な誰かを亡くした人に寄り添う、だけど気取らない生方の台詞や木戸の言い回しをぜひ聞いてほしい。