圧力はあった?なかった?貴乃花親方衝撃引退届も協会側と真っ向意見対立
今後については、部屋の土俵は、そのまま存続させておき「側面から弟子をサポートしたい」という。 精神面での相談にのったり、ときには、部屋の土俵で技の体の使い方や、下半身の鍛え方などを教え、「師匠というよりお父さんとして」弟子との関係を継続していく。 また相撲協会とは断絶となるが、「土俵には携わっていきたい。大相撲の入門者を増やすため、子供達を教えていきたい」と、普及活動に取り組む考えがあることを明らかにした。 貴乃花親方の告白が事実だとすれば衝撃的だ。協会側のパワハラ行為となる。 しかし、この日、相撲協会側は、元横綱・大乃国、芝田山広報部長が会見して「告発状が事実無根であることを認めないと一門には入れない、というわけではありません。そういったことを言って貴乃花親方に圧力をかけた事実はありません」と完全否定。今場所の終盤に貴乃花親方と直接話をした役員が、理事の阿武松親方であったことを明らかにした上で「一門に一緒に入ってやっていこう」と、その接触が圧力でなく、無所属だった貴乃花親方が、どこかの一門へ所属することを促す目的だったことを伝えた。 いわば、貴乃花親方が引退をかけてまで行った“最後の主張”をすべて否定したわけで、ここにきて「言った」「言わない」論争になってしまった。 貴乃花親方の引退の引き金となった問題でわかりにくい協会側の動きが2点ある。 ひとつは、親方の一門への所属義務の問題だ。7月の理事会で決められたものだが、6月に貴乃花一門が消滅していて、この決定は、宙に浮いた貴乃花親方ら、元貴乃花一門の親方8人を対象にしたものであることは間違いない(時津風一門を離脱して無所属になっていた3人の親方もいるが)。 この日、芝田山広報部長は、このルールを作った理由を、助成金などが出ている関係上、お金の流れを透明化して、公益財団法人のガバナンスを強化することが目的だったと説明した。だが、それならば、7月の理事会が終わった時点でメディアに公表しておくべき事項だろう。説得力に欠ける。すべてを内々の“密室”で済ませようとする姿勢と体質自体が、組織のガバナンスとして問題なのだ。内々で内規を決めたことは “貴乃花親方追放”の外堀固めのように思えて仕方がないのだが、貴乃花親方は、この一門所属の義務が決められたことについて「(一門制度は)長く続いているもの。単に否定はできないかと。それ以上のコメントは差し控えたい」と言葉を濁した。 関係者の中からは「一門へ入るための動きを貴乃花親方から頭を下げて行わなかったのはおかしい」との見方もある。だが、この日の会見では、誘いがあったことも明らかにしている。 もうひとつは「事実無根だと認めなければ一門にも入れずに廃業」という圧力の存在だ。 もし圧力が事実だとすれば、これはパワハラ認定されるべき問題。すでに報告義務違反で、協会の理事を解任され、年寄にも2段階降格。「一兵卒として粛々と審判を務めていた」というパワーの失せた貴乃花親方を、この機会に徹底的に追いつめておき、再び改革の反旗を起こす芽を摘んでおこうとでもしたのだろうか。