『パルワールド』にドハマりする配信者が続出 ホロライブではStartendがまさかの再集結
2024年初旬、ゲーマーや関係者の多くが驚くヒットタイトルが飛び出した。1月19日にゲーム制作会社ポケットペアから発表されたゲームタイトル『パルワールド』が、ゲーマーの間で大きな流行となっているのだ。 【画像】新調したショットガンが強力すぎるがゆえにパルを倒してしまう湊あくあ 鮮やかな色彩で表現されたファンタジーな世界観、丸っこく愛らしいキャラクターの数々、フィールドを自由に走り回り、銃や矢を撃って「パル(モンスター)」を倒したり、捕まえることができる。 こうしたオープンワールドの要素にくわえて、捕まえたパル同士を交配させて新しいパルを生み出す育成システムもあり、なんとパルたちを上手く働かせて拠点や道具を作らせ続けるファクトリー系の要素まであわせもっている。 多くの人気作品の良いところをうまくミックスした内容は、オープンワールド・クラフト系・育成シミュレーションなどさまざまなゲームジャンルをかけ合わせたものになっており、日本だけでなく海外での人気も高く、多くのプレイヤーを獲得している。 SNS上では「パルワールドとはどういうゲーム?」という問いに対し、様々なゲームタイトルのロゴを集めたコラ画像が広まっていたが、大げさではあるものの芯を食った内容だと通じているからであろう。 『パルワールド』はリリースから8時間でSteamにおける売上本数が100万本を達成して以降、約24時間で200万本、3日で500万本、4日で600万本、5日半で800万本以上を売り上げた。2月1日には公式Xを通じてSteam版が約1200万本、Xbox版が約700万本を売り上げたと報告されている。 驚くべきはその同時接続プレイヤー数で、Steam版の同時接続人数は約185万人を突破し、Steamを通して販売されてきたゲームの中で歴代2位を記録した。そのあとも平均して約100万人前後のプレイヤーがプレイしている。 大きなヒットとともに、その作品性を問う声も多数上がっているが、そこと切り離して考えたとしても、『パルワールド』は大きなヒットと反響を呼び、一時の流行を生み出したのは間違いない。 「なぜ同作がヒットしたのか?」という部分を考えるうえでは、その作品性が大きく寄与したことはもちろん、リリースしてすぐの段階からYouTuber/ストリーマー/バーチャルタレントなど、おおくのインフルエンサーが同作をプレイしていたことも見過ごせない。 2024年1月16日、ユーザーへの発売3日前にさまざまなプレイ動画やインプレッション動画が投稿され、ライブ配信でもストリーマーやVTuberらがプレイし、注目を集めた。 また『パルワールド』は1年ほど前からティーザー映像などを公開しており、その際にも話題を呼んでいただけに気になっていたユーザーも多かったのだろう。実際のゲーム性を知りたいユーザーがこれら事前のプレイ映像や感想を参考にし、発売後のヒットに繋がっていった。 発売後も実況プレイ動画の投稿や生配信がつづき、ニュースなどをキッカケに同作に興味を持った人たちに『パルワールド』の内容を伝えるPR映像のように働いたのだ。 今回は、それらの配信や動画を紹介していこうと思う。 ■先行プレイで大きな印象を残したホロライブメンバーたち まず、リリース前の先行プレイで期待感を盛り上げていたのは、ホロライブの面々であろう。 白上フブキ、星街すいせい、さくらみこの3人は16日23時過ぎから配信をスタートさせると、その後約6時間に渡ってプレイ。 それぞれが「まだ誰もやったことのないゲーム」ということで探り探りにプレイしはじめる。さくらみこが「ツッパニャンがみこに似てる!」「タマコッコが可愛い!」と出会うパル達に興奮する横で、星街すいせいは「可愛いねぇ~」と口では乗っかりつつ、冷酷にパルたちを倒しはじめる。すると仲間を倒されたパルたちが2人に襲いかかり、なにも分からないまま戦闘へと突入してしまう。 そんな争いを横目に、白上は拠点づくりとアイテム集めをはじめて「へぇーこんな感じなのか」と知識を蓄えていく。いつも通りのホロライブらしさが広がっていくか、普段よりも喜々として騒がしい。完全新作のタイトルであることや、プレイヤーたちが「可愛い!」と口を揃えるキャッチーなデザインゆえだろう。 その後プレイしていくと、建築・収集・アイテム・育成など、これまで自分たちが配信でプレイしてきたゲームの要素に似ていることに気づき、すぐに順応していく3人。 たまたま居合わせた高レベルなパルにボコボコにされたり、パルを収集した際に埋まっていく図鑑の切れ味鋭い説明文に笑ったりと、楽しくゲームをプレイする姿を見せてくれた。彼女らのほかにも多くのホロライブメンバーが発売前の同作をプレイしており、ファンに強い印象を刻んだのだ。 ■パル配合の第一人者に “育て屋さん”と化した恭一郎 日本国内外で大きなインパクトを残す『パルワールド』だが、徐々に配信者らが届ける内容もすこしずつ変わっていくことになる。 先述したように『パルワールド』には育成ゲームの要素もあり、どのようなモンスターを交配・誕生させるかにフォーカスをたてるのもひとつの遊び方だ。この点において、ストリーマー・恭一郎のやりこみ様は凄まじい。 同作が発売する直前、彼はタイトルに「することがない」「ゲームするかウォッチパするか」とつけ、リスナーとの雑談やアニメなどのウォッチパーティを中心に配信しており、「やりたいゲーム/するゲームがない」という雰囲気を漂わせていた。 すこし退屈そうにしていた彼が期待を寄せていたのが、『パルワールド』だった。 1月19日に同じくストリーマーであるSurugaMonkeyと一緒にプレイしはじめると、初日から14時間もの長時間にわたって配信をおこなった。長年配信者として活躍している恭一郎だが、とくにゲームや配信における体力・集中力は図抜けており、いちどハマると長時間になることもしばしば。本人いわくかつて『ARK』をやりすぎた結果、足に支障をきたしたことがある逸話を持つほどだ。 アイテム・ゴールド取得のために敵を狩り続ける“ファーム”にも飽きることなく、可愛らしいパルと出会えば「おぉ~いいねぇ」とニコニコしながらプレイし続ける恭一郎。翌日以降の配信も自然と長時間のプレイとなっていった。 2月に入ると、所持しているパルをすべてレベルマックスにしたり、ボス格のパルを捕獲するなど、一般的なやりこみ要素はひととおり済ませ、その後はパルの個体値などより深くやりこむ方向へとシフトしていった。 パルを捕まえて因子や能力値を確認し、合わなければその場で倒して、また次のパルを探して捕まえる。そんな風にして独自にデータを蓄積し続け、気づけばプレイ時間は200時間を優に超える結果に。彼とおなじくパルの育成に勤しむゲーマーや興味をもったリスナーからの質問に答え、一緒に疑問を解いてきた。 「このゲームって、『別種で組み合わせると全く関係ない個体になりますよ』ってわざわざ運営が説明しているのね。画像までつけて別種で交配させることができますよ、特殊なパルのタマゴも生まれますよと、こんな言い方をしてる。同じ個体同士でかけ合わせて産むこともできるけど、ベースは別のほうが(よい良い個体を)産みやすかったりするかもしれない」 配信中にいくつもの独自見解を導き出し、検証と理解を深めていく恭一郎。まだリリースされたばかりの同作だが、「アーリーアクセス」ということで今後何かしら数値の変更や新要素の追加も十分ありえるだろう。謎多きパルの生態、その秘密に迫っていく個体値研究はまだまだ終わらないようだ。 ■各コミュニティで専用サーバーが設立 ホロライブでは偶然にも“スタテン”が再集結 ホロライブ・ぶいすぽっ!といったバーチャルタレント事務所やストリーマーサーバー企画を運営するVAULTROOMなどでは、それぞれが専用サーバーを建てて所属タレントやストリーマーたちにプレイさせるようになり、多くのリスナーや興味あるゲーマーらを惹きつけることになった。 SNSで大々的に告知することはなかったが、VAULTROOMのサーバー(通称:土井鯖)では「VCR」関係のイベントに参加した経験のある面々がプレイしはじめ、過去に『ARK』や『RUST』でイベントを開催したとき同様に突然の出会いと交流が図られる場になっていた。 とはいえ、『パルワールド』にはボイスチャット機能がなく、1つのサーバーへの参加上限が32人まで、なおかつマップがかなり広めということもあり、他プレイヤーと出会うということはなかなかなかったようだ。 ぶいすぽっ!所属のVTuber・兎咲ミミは発売されて数日が経った1月22日に初めて『パルワールド』をプレイ、ストリーマーサーバーでのプレイということで知り合いとも交流しつつ、同作を大いに楽しんでいくことになった。 その後、ぶいすぽっ!の専用サーバーが立ち上がると、そちらでもプレイ。他のメンバーが同作品をあまりプレイしていなかったこともあり、彼女が指南役となってともにプレイすることもあった。 兎咲ミミはFPSだけでなく『Minecraft』のようなサンドボックス系・クラフト系のゲームも得意としている。なにより、彼女はグループきっての長時間配信者であり、『パルワールド』ではその体力や集中力が遺憾なく発揮されることになった。 じつは『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』と『League of Legends』を同じタイミングでプレイしており、その配信時間も10時間を優に超えるなど、いつ睡眠しているのか?と疑いたくなるほどだ。 先に名前をあげたホロライブでも専用サーバーが立ち上がり、続々とメンバーがプレイしていった。ただし、海外メンバーも含めてかなりの参加人数となってしまい、日本と海外とでサーバーを別々にしなければならなかったほど。 そんなホロライブのなかで『パルワールド』にハマった人物といえば、湊あくあはその筆頭だ。 湊あくあといえば、デビューしてから現在までホロライブの同僚らを中心に「本物の陰キャ」とまで評される内気な性格の持ち主として、認知されている。 ゲームをするときも基本的にはソロで遊ぶことが多く、今回の『パルワールド』でもソロプレイを中心にしていた。とはいえ、ゲームには存分に没頭し、全111匹のパル図鑑をコンプリートし、伝説パルの捕獲や強いパルの厳選など、しっかりとハマっていった。 他のメンバーが複数人でのプレイを楽しむなか、「攻略」という一点に重きをおいて効率重視のプレイをした結果、1月終わりには上記の内容をほぼほぼ達成してしまった。 育ててきたパルたちだけに頼らず、超火力のショットガンを使って対ボス戦を終わらせようと撃ちまくる姿は、まさに『Apex Legends』で敵を倒しまくっていた姿とダブってみえた。 ちなみに、湊あくあが『パルワールド』をプレイしようとしたところ、ホロライブサーバーにログインできなくなってしまったことが一度あった。 暇を持て余すことになった湊あくあだったが、同様に予定がポッカリ空いてしまった面々とともに新しくサーバーを立ち上げてプレイすることに。 このとき集まったメンバーは湊あくあ、常闇トワ、星街すいせいの3人。奇しくも2022年に開催された『VTuber最協決定戦 Season4 Ver. APEX LEGENDS』に出場したチーム・Startendによる突発コラボとなった。 すこしずつ集まるパルにテンションが上がったのか、元気に話しかける湊あくあ、少し面倒くさそうにしながらもうれしそうな常闇トワ、星街すいせいは上品そうな口調で話し出してみたり、ツッコミに周ってみたりと、いつもの活気ある3人の会話から配信がスタートした。 パルを収集して働かせ、順調に材料を集めていく3人。ソロプレイでは討伐が難しいボスも、『Apex Legends』でともにプレイした経験を活かしたチームワークでなんなく討伐してしまうなど、見どころ満載であった。 『パルワールド』はアーリーアクセスのタイトルであるため、改善すべき点やアップデートが必要なところはまだまだ多い。それでも近年世界でもあまり類を見ないほどの大ヒットを記録した今作には、かかる期待・注目も非常に大きい。同作の動向には注目していきたいところだ。
草野虹