鹿児島県警の情報流出事件 「隠ぺい」主張する前生安部長が保釈 鹿児島地検は国家公務員法違反の罪で起訴
鹿児島放送
鹿児島県警の捜査情報を漏らした疑いで逮捕された県警の前の生活安全部長が、21日国家公務員法違反の罪で起訴され、先ほど保釈されました。 鹿児島中央警察署から一礼をして出る本田被告、先ほど保釈されました。 国家公務員法違反の罪で起訴されたのは、県警の前の生活安全部長、本田尚志被告(60)です。 本田被告は、鹿児島簡易裁判所で勾留理由の開示を求める手続きの際、記者に資料を送ったことを認めた上で「県警職員が行った犯罪行為を野川本部長が隠ぺいしようとした」などと主張していました。 これに対し、野川本部長は21日の会見で「隠ぺいを指示した事実はない」とした上で、本田被告が送った文書の内容について 野川本部長 「『刑事部長の指示は静観しろだった。刑事部長は不作為を指示した』との記載がございます。しかしながら先般県議会でも申し上げた通り、枕崎署の盗撮事案においては当初から生活安全部の所管でございます」 「この資料に記載されている内容は明らかに虚偽であり」などと指摘。 さらにー 「(本田被告から)送付された資料には本部長が隠ぺいを指示したとの記載はなく、前刑事部長の名誉を害するような内容が記載されている一方で、公表を望んでいないストーカー事件の被害者の個人名や年齢が記載されており、県警といたしましてはこのような文章の内容から見て、公益通報には当たらないものと考えております」 と述べ、本田被告の行為は公益通報に当たらないとの認識を示しました。 起訴状によりますと、本田被告は在職中の日付けで作成された、警察官によるストーカー規制法違反事件の書面から、作成日と作成名義を除いた部分を印刷。退職後の3月28日ごろ、被害者氏名などの個人情報が記載されたまま、この書面を第三者に郵送し、職務上知ることのできた秘密を漏らしたとされています。 裁判所は21日の起訴を受けて、本田被告の保釈を認め、先ほど本田被告は裁判所をあとにしました。 今回の事件では、県警が福岡市にあるネットニュースの編集部を家宅捜索するなど、報道の自由や取材源の保護などを侵害したとして、捜査手法を批判する声も上がっています。 これに対してはー 野川本部長 「言うまでもなく報道の自由でございますとか取材の自由については理解をしているところでございます」 民主主義の根幹を脅かすとの指摘に対しては「懸念しているような影響はないと認識している」と答えました。 また野川本部長は、自身の事件の指揮が不徹底だったことで警察官の逮捕が遅れたとして、警察庁から長官訓戒の処分を受けたことを明らかにしました。 本田被告の弁護士は「起訴は大変残念。本田さんが主張した鹿児島県警の隠ぺい行為については、その真相が解明されることを願っている」とコメントしています。