「指導は過剰」 震災避難者の市営住宅退去巡り、大阪市に支払い命令
東日本大震災で関東地方から大阪市営住宅に避難した50代女性が、一方的に退去を求められて精神的苦痛を受けたとして、市に220万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(山本拓裁判長)は22日、5万5000円の支払いを命じた。一方で市側の訴えも認め、女性に住宅を明け渡すよう命じた。 判決によると、女性は2011年3月11日の震災で自宅が被災後、市営住宅に入り生活保護を受給している。被災状況により、住宅の使用期限は17年3月までだった。市職員は繰り返し転居を求める中で「生活保護を打ち切る可能性がある」などと伝えていた。 山本裁判長は、市が市外にある女性の通院先付近に転居するよう指導した点について、「地域を限定し、転居先の確保を困難にするもので過剰だ」と指摘。この指導を違法と判断し、女性の請求を一部認めた。 判決後、弁護団は「市の違法性が認められたのは大きな意義がある」と強調した。ただ、退去命令を不服として控訴する方針。 市は「判決の内容を確認し、対応を検討する」とコメントした。【木島諒子】