【能登二次災害】コスパ優先の復興は地方切り捨てだ!道路復旧の遅れで被害拡大…コンパクトシティ推進が日本を壊す
9月下旬に能登半島を襲った豪雨。元日の震災の復興がままならない中で「二次災害」の様相を呈している。 輪島市や珠洲市ではトンネルの復旧工事中に土砂災害が起きたり、震災後に建設された応急仮設住宅が浸水したりといった被害が見られる。 土木計画が専門の神戸大・小池教授は「震災後の道路などインフラの復旧工事が遅れている」と指摘する。背景には何があるのか、話を聞いた。 (湯浅大輝:フリージャーナリスト) 【写真】積み重なる流木に遮られた輪島市の道路 ■ 仮設住宅の水害を責めるのは酷 ──水害にあった輪島市や珠洲市の応急仮設住宅は、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域など災害リスクを潜在的に抱えた土地に建設されたという指摘もあります。小池さんは今回の水害をどのように分析していますか。 小池淳司・神戸大学大学院工学研究科教授:今回の能登半島での土砂崩れや河川氾濫などの豪雨被害は、震災後道路の復旧が遅れる中で、全国的に問題になっている線状降水帯がもたらした二次災害と分析しています。 仮設住宅の場所に関しては、行政の肩を持つわけではありませんが、これは仕方がない面もあります。 そもそも、仮設住宅を設置する目的は、早急に提供するところにあります。災害リスクが低いところにはすでに住宅が建っていますから、空いている場所を探すしかなかったのでしょう。そこが災害リスクの高い場所だった、ということだと思います。 それよりも、輪島市や珠洲市の市町村道の復旧が遅れていることが二次災害の遠因になっていることは間違いありません。元日に起きた震災で能越自動車道の先の輪島市や珠洲市の多くの市町村道が陥没しています。それらの道路の復旧が今もままならない状態なのです。 高速道路のような高規格の道路は復旧にそれほど時間を要しないのですが、すでに老朽化した県道・市町村道は修復が困難です。震災前から土砂崩れ対策、具体的にはアンカーボルトを打ってコンクリートで固める、といった既存道路の補修・補強整備が不十分でした。 そうした中で、政治的にも復興予算を確保するスピード感が欠けています。確かに、今回の水害は被災地を襲った悲劇的なものではありますが、線状降水帯は日本全国どこでも発生するリスクがあります。災害に強い道路と震災後のインフラ復旧のスピードを高める努力をすべきです。 ──小池さんは道路投資に関する専門家ですが、能登半島の震災後の道路復旧工事はどのような点で遅れているとお考えですか。