政治資金は、誰がどのくらい負担すべき? 世界と比べてみたら(原口和徳)
匿名での寄付に対する制限も国によって様々
政治資金パーティーにおける公開基準で注目を浴びる匿名での政治献金の可否も、国ごとに違いがあります。 ドイツは、1回500ユーロ(1ユーロ170円とすると、8.5万円)を超える出所不明または匿名の寄付の受領を禁止しています。 一定の金額を超える寄付については、現金での寄付を禁じることで、寄付者を明確にしている国もあります。フランスでは150ユーロ(2.55万円)を超える寄付については小切手や銀行振り込み等によるものとしており、現金による寄付を禁じています。同様の規制は、アメリカやスロベニアでも適用されています。 寄付をする側の会計書類への記載を義務付けることで、寄付行為を可視化している国もあります。 イギリスでは2,000ポンド(1ポンド200円とすると、40万円)を超える寄付をする場合には、貸借対照表等とともに提出する取締役報告書に寄付先と金額を記載する必要があります。同様に、アイルランドでも一定金額以上の寄付をする法人はその企業の年次報告書に記載する必要があります。 金額によらず、匿名での寄付そのものを禁じている国が複数あることも確認しておきましょう。表3にある通り、OECD加盟国の中で、半数を超える20か国で政党に対して匿名で寄付することが禁止されています。
政治資金に関する情報は見つけやすい?
政治と金をめぐる報道によって、日々、情報が更新されていくのを目の当たりにして、「なにが起きているのかが、どうしてこんなにわかりにくいの」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。政治資金に関する情報の公開方法やその使い勝手にも、日本と他国との間で違いが生じています。 アメリカやイギリスでは、政党や政治家による収支報告書が選挙管理委員会等のwebサイトに掲載され、データの集計や抽出を行うことが可能になっています。 日本では政治資金収支報告書をオンラインで提出することが可能ですが、日経新聞の報道によると、その利用率は2022年分で5.7%、24道県において1件もオンライン提出がありませんでした。その結果、インターネット上で公開されている政治資金収支報告書は紙をPDF化したものがほとんどとなり、スムーズにデータを読み取り、分析等することができなくなっています。 また、政治資金収支報告書が公開される場所も、対象の政治団体の活動範囲によって、総務省となるのか都道府県の選挙管理委員会となるかが分かれています。そのため、必要な情報を取得するためには、利用者に一定の知識が求められる状況になってしまっています。