【日本三大蛇祭り】島根「石見神楽」・熊本「八代妙見祭」・新潟「大したもん蛇まつり」:伝説の怪獣・霊獣が大暴れ!
亀蛇に続いては、祭りのハイライトとなる12頭の飾馬(かざりうま)。骨格が太い馬が荒ぶりながら疾走し、手綱を必死につかんで伴走する勢子(せこ)は空中を飛んでいるかのようで大迫力だ。
新潟「大したもん蛇まつり」
(関川村、8月最終日曜日) 新潟県北部の関川村には、大蛇のみそ漬けを食べた若妻が大蛇へと変身してしまう昔話が伝わる。この大蛇は川をせき止めて村を湖に変え、自分のすみかにしようと企てるが、琵琶法師の助けを受けた村人らに退治されたという。水害を大蛇に見立て、後世に教訓を残したのであろう。
1967年8月28日、新潟県・山形県を襲った羽越大水害では関川村も被害が大きかった。水害の脅威を忘れないためにと、8月下旬の「大したもん蛇(じゃ)まつり」で伝説の大蛇をよみがえらせている。出し物の大蛇の長さは被災した日付にちなんだ82.8メートルで、「竹とワラで作った世界一長い蛇」としてギネスブックに載る。村内の50以上の全集落が協力して作り上げ、重さは2トンもあるので総勢500人が交代で担ぐ。 里を練り進む世界一の大蛇は、間近で見ると迫力満点。事前に申し込めば誰でも担ぐことができるので、観光イベントとしても人気が高い。地域が結束し、訪れた人も取り込んで、災害の記憶を広く後世まで伝える役割を果たしている。 ※祭りの日程は例年の予定日を表記した 写真=芳賀ライブラリー
【Profile】
芳賀 日向 国内外の祭りを追い続ける写真家。1956年生まれ。祭りや民俗芸能の写真と資料をアーカイブする「芳賀ライブラリー」代表。日本写真家協会会員、藝能学会会員、全日本郷土芸能協会会員。『週刊朝日百科 日本の祭り』(朝日新聞出版)シリーズ連載、『知れば知るほどおもしろい! 日本の祭り大図鑑』(PHP研究所)監修ほか著書多数。
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