「あぁ、今日もよく働いたなあ」を繰り返して、気づけば108歳に。現役理容師・箱石シツイさんが語る“生涯現役”人生の秘訣
数を数えて1000歩まで。今でも、手押し車も杖もいりません
70歳を過ぎた頃のある日、お客さまがいらして、「いらっしゃい」と立とうとしたときに、無意識にテーブルに手をついて「よいしょ」って掛け声をして立った自分に気がついて、「あれ?」と思いました。それまでそんなことはなかったですから。それがきっかけで、「なんとかしなくては」と、毎日歩くようにしたんです。 朝ごはん、昼ごはんが済んだあと、少し食休みをしたら、歩く時間としています。家を出て、近くの廃校になった小学校まで行って、校庭にある体育館の周りを「いち、に、さん、し……」と数を数えながら歩きます。 歩き始めた頃は1時間くらいは歩いていましたかね。たまに立ち止まって、季節の花を眺めながら、腰や背中を伸ばしたり、そんなことをしながら、楽しみながら歩きます。 「疲れたな」なんて感じはしないんですよね。もう30年以上の習慣になっていますから。 大それたことでなくても、続けることがいいような気がしますね。ここ1、2年は、数を数えて1000歩まで。手押し車も杖もいりません。
転んで骨折した102歳までひとり暮らし。余計なことは考えないから寂しくなかったです
折りに触れて息子が、前々から「一緒に住もう」と言ってくれていました。大学卒業後、結婚して千葉県で所帯を持っていた息子でしたが、3人の娘(わたしの孫たちです)は独立し、20年ほど前からは、栃木県の宇都宮市に夫婦で住んでいました。 同居するとなると、わたしが宇都宮に行くことになるんでしょうか。孫やひ孫たちと身近に接して、近況を聞きながら暮らしていくのもいいものでしょうけれど、新しい土地にはどうも行きたくなくて。まずそう考えましたので、ありがたいと思いつつ、そのたびに断っていました。