【イベントレポート】池松壮亮と妻夫木聡は“親戚”、石井裕也が特別な思い語る「これからも人生を並走」
映画「本心」の公開記念舞台挨拶が本日11月9日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、キャストの池松壮亮、三吉彩花、水上恒司、妻夫木聡、田中裕子、監督の石井裕也が登壇した。 【写真】トークを繰り広げる池松壮亮と水上恒司 平野啓一郎の同名小説を映画化した「本心」は、亡き母・秋子の本心を知るためAI技術で母を仮想空間によみがえらせる息子・朔也の姿を描くヒューマンミステリー。朔也を池松、秋子の親友・三好彩花を三吉、朔也の幼なじみ・岸谷を水上が演じ、AI技術者・野崎に妻夫木、秋子に田中が扮した。 昨日11月8日に公開初日を迎えた本作。観客から寄せられた感想によると、朔也がVF(ヴァーチャルフィギュア)の秋子と仮想空間で再会するシーンが印象深いという声が多かったという。池松は「自分にとっても強烈なシーンでした。母を“作り上げて”しまった戸惑いと、亡くなった最愛の人に会えた純粋な喜び……複雑な感情が混ざって、心が震えるような感覚が今も残っています」と同場面への思いを口にする。 石井は「出番を待っているときの田中さんの姿が印象的でした。VFのように実態がないような存在としていらっしゃって……」と感心したように振り返るも、田中は「緊張してただけだと思います」と笑う。また秋子が口笛を吹く演出について、池松が「僕は知らなかったんですけど、何やら石井さんと田中さんがこっそり話していたようで」と明かすと、田中は「監督が急に『何かやってみましょうか』って言うから……緊張の極みでした」と石井からの無茶ぶりであったことを伝えた。 田中と同じく、水上と三吉も石井組に初参加した。水上は「鍛えられましたね。段取り、カメラテスト、本番までのプロセスがこんなに短い現場は初めて。求められた時間の中で少しでも自分のパフォーマンスを上げるという機会をいただけてうれしかったです」と充実の表情を浮かべ、「田中さんみたいな無茶ぶりが僕にもありました。『もっとあるよね、水上くん?』って。だから常に緊張でした(笑)」と刺激的な現場であったことを述懐。三吉は「監督がモニターではなく、すぐ横でお芝居を見てくださっていて。私は人に触れることができない役だったので、物や壁に触れるアクションが重要な意味を持つんですけど、細かいところまで目を配ってくださったことに救われました」と感謝の気持ちを伝える。 2014年に公開された石井の監督作「ぼくたちの家族」で組むなど長い付き合いの池松・妻夫木・石井は、それぞれの印象にも言及。池松は「出会った頃から今に至るまで、石井さんはずっと偉大。常に時代とにらめっこしながら、人にはできない映画を生み続けている。初めて映画をご一緒してから10年経ちましたが、こうして新たな1本を作り出せたことを誇りに思います」と強い信頼をあらわにし、「変わったところは、ちょっとお酒が弱くなったかな。そこは退化ですね(笑)」と述べる。妻夫木に対しても「妻さんと共演できるたびに特別な安心感と喜びがあります」と感謝をのぞかせた。 妻夫木は「お二人と出会って、人を尊敬するのに年齢って特に関係ないんだなと思えました。ただの仕事仲間というより、どこか親族に近いものを感じる。この人たちに懸けたいという思いがあるし、何があってもあきらめないでいられる間柄です」と特別な思いを吐露。石井も「僕にとっても特別ですね。人前でこんなこと言ってもしょうがないですけど(笑)」と照れながら同調し、「“親戚”です。仕事仲間なんですけど、これからも人生を並走していくと思う。10年、20年と空いちゃうかもしれないけど、またご一緒できたときには、特別なストーリーの映画が作れるんじゃないかな。友達でもないんですけど、大切な人たちです」と思いをあふれさせた。 「本心」は全国で上映中。 (c)2024 映画『本心』製作委員会