性暴力救援センター8団体が内閣府に要望書を提出 公費支援の拡充求める
性暴力被害者から相談を受けて医療や法律相談につなげる「ワンストップ支援センター」の運営が厳しくなる事例が相次いでいる。行政による公的支援が十分ではないことが理由で、特に病院拠点型の大規模センターでは存続の危機に瀕している施設もある。 2010年に大阪府松原市の阪南中央病院に開設された「性暴力救援センター・大阪SACHICO」(以下SACHICO)でも現在、新たな拠点設置や補助拡充を求めている。 8月27日にはSACHICOのほか「千葉性暴力被害支援センターちさと」「性暴力救援センター日赤なごや なごみ」など全国八つのセンターが、内閣府の加藤鮎子特命担当大臣(男女共同参画等)に対し、運営費における国の負担分の引き上げなどを求める要望書を提出。9月6日には8センター合同のオンライン会見を開いて実情を訴えた。 会見では病院拠点型センターの問題以外にも、各地のセンターで支援内容に格差があり、公費負担の範囲や基準にはばらつきがあること、専門性のある支援員の確保や安定的な配置が難しい現状などが報告された。 他方でセンターの利用者は全国的に増加しており、内閣府資料によれば21年度が5万8771件、22年度が6万3091件だったのが、23年度は6万9100件(対前年比9・5%増)と、増加傾向にある。 性暴力被害の支援ニーズが高まっている半面、国や自治体からの補助では人件費など運営費が不足する事態に陥っている。病院を拠点とするセンターでは医師・看護師の支援行為に補助金が出ないため、病院側への人件費負担が生じるという運営体制にある。 今回の要望書では、これまで国が自治体と半分ずつ負担していた運営費への補助率を10割に引き上げることや、医療・心理・法律の各専門分野支援における地域間のばらつきに関する調査、居住地などによる制限もなくして費用を国が負担すること、現在は国からの補助がない医療従事者の支援行為についての補助も求めている。