性暴力救援センター8団体が内閣府に要望書を提出 公費支援の拡充求める
人件費負担が深刻な課題
SACHICOはワンストップ型の支援の先駆けで、理事の一人である加藤治子医師を中心に病院拠点型のセンターとしてこれまで活動。性暴力被害者の相談に対し24時間体制のホットライン、支援員常駐、心のケア、産婦人科、精神科による支援を実施し、診療については被害者を阪南中央病院につなげる形で行なってきた。しかし、被害治療の診療報酬の単価は通常の外来に比べて4分の1程度と低い。そのうえ、相談を受けた医師が刑事手続きや裁判に備えた証拠として被害状況を丁寧に聴き取って記録するという、診療以外の活動もある。 その結果、医師らの人件費を拠点病院が被る構造となり、持続的な運営が厳しい状態となっている。診療代も被害者の負担はゼロで、大阪府や警察の公費負担とセンターが集めた寄付から賄う格好だ。SACHICOに限らず病院拠点型のセンターは安定した医師の人件費確保が必須だ。 「少子化、女性活躍というが、性被害の問題を抜きにしては語れない。大阪府の公的責任で体制を整備してほしい」と、SACHICOの久保田康愛理事長は訴える。前記の相談からつなげた形による阪南中央病院での受診件数は22年度が406件だったのが、23年度は121件と半分以下に減少。SACHICO全体での受診件数は同じく423件から207件に半減。一方で支援を頼んだ他の協力病院での受診が17件から86件に増加した。なお、阪南中央病院を拠点にした活動は今年度までとなっているという。 SACHICOは6月7日付で大阪府に対し、性暴力対策の拡充策として、公立病院を拠点とするワンストップ支援センターの設置などを要望した。自治体によるセンターの拠点化などを求めているが、大阪府は明確に回答していない。9月の府議会の議論に注目が集まっている。
吉永磨美・ジャーナリスト