<春に挑む・’23センバツ長崎日大>/下 躍進支える投手陣 切磋琢磨で高みへ /長崎
長崎日大のブルペンで、平山清一郎監督(43)がストップウオッチをにらむ。「5分間ピッチング」と呼ぶ投手陣の練習。5分ごとに投球、筋力トレーニング、ダッシュなどのメニューを切り替えて繰り返し、投げては打ち、走る、試合に近い感覚やスタミナを養う。監督の視線の先にいる西尾海純(みいと)(1年)、広田樹大(きだい)(2年)の両投手は、チームの躍進に大きく貢献した。 背番号「1」をつけて2022年秋の公式戦に5試合登板した西尾投手と、背番号「10」で6試合登板した広田投手は共に防御率1点台。西尾投手は力のある直球で押すスタイルで、広田投手は制球力があり左打者に有効なチェンジアップなどの変化球を得意とする。 九州地区大会準決勝の大分商戦で先発した西尾投手は8回を被安打6、1失点と好投し、4-1で快勝する原動力となった。西尾投手は「勝てばセンバツに近づけると思い、真っすぐで追い込んで変化球で勝負するという良い組み立てができた」と好感触をつかんだ。 しかし、決勝の沖縄尚学戦で壁にぶち当たった。両投手は、継投して逆転を許した七回の投球を悔やむ。長崎日大の1点リードで迎えた七回表、先発の広田投手は連打を浴び、1死一、二塁のピンチに。交代した西尾投手も連打されて一挙3点を奪われ、5―8で敗れた。 「ピンチで出て直球の球威で抑えようとしたが、通用しなかった」と唇をかむ西尾投手。現在は直球を4キロアップさせて最速145キロにすることを目指し、ウエートトレーニングや投げ込みに汗を流す。 広田投手も後輩である西尾投手からのエースナンバー奪取を誓う。下半身強化などに取り組み、「1試合を一人で投げきる力をつけ、全国の強打者にどれだけ通用するか、試したい」と闘志を燃やす。 福岡県の中学出身の西尾投手と波佐見中出身の広田投手は寮で同室。仲の良い2人は「切磋琢磨(せっさたくま)して高みを目指したい」と口をそろえる。 平山監督は「西尾、広田の両投手とも完投できるスタミナはある。2人に加え、秋にベンチ入りした他の4投手も力があり、競争でさらに力をつけてほしい」と期待する。 3月18日のセンバツ開幕まで1カ月半。投手陣の猛練習は続く。【高橋広之】 〔長崎版〕