監督批判問題の鹿島・金崎が決勝ゴールに込めた思いとは
昨シーズンに期限付き移籍で獲得した目的は、サイドアタッカーの層を厚くするためだった。鈴木満常務取締役強化部長は、いい意味で裏切られたと語ったことがある。 「あれほど最前線で頑張れる選手だとは思わなかった。チームにいい影響を与えてくれたよね」 大分トリニータや名古屋グランパス時代は生粋のドリブラーだった金崎の体には、ブンデスリーガのニュルンベルクからポルティモネンセへと移った2年の間に、屈強なセンターバックとの壮絶なバトルを厭わない強靭なメンタルと、体を張ってボールを収める技術が新たに備わっていた。 その姿にハリルホジッチ監督も魅せられ、昨年11月のシンガポール代表戦では通算6試合目にして待望の初ゴールも決めた。日本代表における軌跡は一時停止を余儀なくされているが、約2ヶ月ぶりにゴールを決めた鹿島では「禊ぎ」を済ませ、7年ぶりとなるJ1王者を決める舞台へと導いた。 「ほとんど相手のペースでしたけど、ある意味で鹿島らしく戦えた。(決勝まで)何日間かあるので、そのなかで石井さんを中心にして浦和対策をやっていく。自分たちのスタイルで最後までやるだけなので」 自分が信じることを絶対に曲げない27歳は、鹿島でも日本代表でもメディアの前で頑なに無言を貫いてきた。しかし、この日の取材エリアではテレビカメラの前で3分ほどの質疑に応じている。 魂のストライカーから発せられた短くも熱い思いは、カシマスタジアムで行われる29日の決勝第1戦で言霊となって浦和に襲いかかる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)