4月からひとり暮らしを始めた大学生です。「電気代が安くなるので検針票を見せてください」と勧誘があったのですが、検針票を見てもらってもいいでしょうか?
4月は新しい年度の始まりです。進学や就職でひとり暮らしを始める方もいらっしゃるでしょう。ワクワク・ドキドキのひとり暮らし。何もかも1人でやらなくてはなりませんが、自由な時間を満喫できそうですね。 しかし、浮かれてばかりはいられません。この時期にひとり暮らしを始める若者を狙った契約トラブルに注意が必要です。
「電気代が安くなりますよ」と突然の勧誘
志望校に合格したAさんは、この春から念願のひとり暮らしを始めました。大学近くで賃貸マンション生活です。 ある日、電気事業者の訪問がありました。事業者は、「電気代が安くなるので、検針票を見せてほしい」と話し始めました。さらに、「このマンションの住民皆さんにお願いしています」と続けます。見せるだけだし、住民の皆さんもそうならと思い、Aさんは事業者に検針票を見せました。 見せただけ……しかし、本当に大丈夫なのでしょうか。本当にこれだけで安くなるのでしょうか。
検針票の情報があれば契約先の切り替えができる
検針票には、住所・氏名の個人情報が掲載されていますが、重要な情報はそれだけではありません。 利用中の電力会社、顧客番号、供給地点特定番号(電気の供給場所を特定することができる22桁の番号)等の情報が掲載されています。これらの情報は、電力会社の切り替えに必要な情報です。これらの情報により、電力会社の変更ができてしまうということです。 また、電力会社の切り替えは、切り替え先の電力会社へ申し込みます。電力会社の窓口、電話、ホームページから切り替え申し込みができます。そして、現在契約している電力会社へ解約する手続きは、切り替え先の電力会社で手続きができます。 もちろん、消費者が同意した場合ですが、もし、電気事業者が契約ほしさに、検針票から得た情報を使って勝手に契約を切り替えてしまうということが可能になってしまいます。
クーリング・オフはできるの?
電力小売全面自由化により、電力会社や料金メニューを自由に選べるようになりました。 しかし、契約の種類が多くなった分、契約変更のトラブルや契約に関する相談が、国民生活センター、消費者庁、経済産業省電力・ガス取引監視委員会に多く寄せられています(電力・ガス自由化をめぐるトラブル速報!№18 独立行政法人国民生活センター、消費者庁、経済産業省電力・ガス取引監視委員会)。 検針票を見せるよう要求する他、電話で情報を聞き出すという手口もあります。もし、電力会社を変える契約した覚えもないのに勝手に変更されてしまったら、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口(03-3501-5725)、または、お住まいの消費生活センターや消費者ホットライン(局番なし188)に相談しましょう。 また、事業者の訪問を受けて「電気料金が安くなる」と言われて契約してしまったけれど契約解除したい場合、特定商取引法に定める書面を受け取った日から8日以内であればクーリング・オフができます(書面、または電子メール(電磁的記録)で申し出ます)。 契約したのに書面がない、書面があっても不備がある場合、適法な書面を受け取るまでクーリング・オフのカウントは始まりません。