武豊の〝研究〟と〝覚悟〟 ゼンノロブロイと初コンビ 19年前の英GIインターナショナルSの記憶
現地時間21日、英国のヨーク競馬場でGⅠインターナショナルS(1マイル2ハロン56ヤード)が行われる。19年前の2005年、このヨーロッパの夏の中距離王決定戦に出走したのがゼンノロブロイだ。 伯楽・藤沢和雄調教師(引退)が送り込んだ同馬は、前年にテイエムオペラオー以来、史上2頭目となる天皇賞・秋→ジャパンC→有馬記念の3連勝を達成。初のヨーロッパ遠征で、鞍上に天才・武豊騎手を迎えて挑戦した。 当時は今と違い、海外のレース映像を簡単には入手できない時代。それでも、経験豊富な武豊騎手はレース前にライバル馬たちの映像を手に入れると、繰り返し見て、研究し、次のように言った。 「イタリアの1頭だけ見られなかったのですが、他はチェックしました。ロブロイに乗るのは初めてだけど、何度も戦ってきて、強さも特徴もだいたい分かっています。好勝負になると信じています」 ヨーロッパの競馬にありがちなゴール前での叩き合いになったらどうですかね?と問うと、答えた。 「そのときは制裁覚悟で追います。着順の変更はありませんから……」 実際にレースではムチの連続使用制限違反ということで騎乗停止処分を科されるのだが、これも覚悟の上だったのだ。 ちなみにゼンノロブロイは2着だった。勝ったエレクトロキューショニストはただ1頭、武豊騎手がレース映像を見られなかった馬だったのである。 さて、今年はこのレースにドゥレッツァ(牡4・尾関)が挑む。好メンバー揃いではあるが、日本馬が世界中で結果を残す中距離戦だけに期待したい。(平松さとし)
東スポ競馬編集部