習近平国家主席肝いりのビッグプロジェクトも…不動産バブル崩壊! 中国各地に現れた「巨大廃墟」
〈ゆったりとした空間で眺望も良く快適。部屋の広さは96~142㎡〉 中国東部・南通市には、こんな魅力的な広告の後ろにタワーマンション群が広がっている(上写真)。だが資金難から工事は中断。今は廃墟のような状態だ。 【画像】遊園地に、世界一高い未完成ビル、客の通わないカジノ…中国各地に現れた「巨大廃墟」 「開発したのは、中国の不動産大手『碧桂園(へきけいえん)』です。しかし同社は’23年ごろから経営が傾き、総額31兆円近い負債を抱え10月には一部の債券で債務不履行に陥っています」(全国紙経済部記者) 現在、中国各地の至るところに同様の「巨大廃墟」が出現している。不動産バブル崩壊の背景を、中国情勢に詳しいジャーナリストの高口康太氏が解説する。 「中国の不動産ビジネスの主流は予約販売です。大手企業はマンションができていないうちから販売を開始。集めた資金で、新たな物件をどんどん作るんです。当然、無茶な拡大路線で負債が膨(ふく)らみます。見かねた当局が負債比率などの引き締めに乗り出すと、企業は一気に資金難となり工事がストップしてしまいました。中国の不動産プロジェクトはマンションを建てるだけでなく、ショッピングセンターや学校、病院なども誘致します。一つの街が、丸ごとゴーストタウンになったケースもあるんです」 廃墟化しているのは、民間の不動産だけではない。習近平(しゅうきんぺい)国家主席肝いりのプロジェクトも閑古鳥が鳴いているのだ。 「北京郊外で建設が進む『雄安(ゆうあん)新区』です。デジタル技術を駆使したスマートシティとして、これまでに14兆円以上が投じられました。鄧小平(とうしょうへい)氏の『深圳(しんせん)経済特区』や江沢民(こうたくみん)氏の『上海浦東(しゃんはいほとう)新区』にならい、習氏は自身のレガシーにしたいのでしょう。しかし『上海浦東新区』の金融センターのような明確なビジョンがなく、人は集まっていません」(高口氏) 抜本的な対策がなされずに悪化する中国の不動産市況。工事中断で放置される巨大建造物は、ますます増えそうだ。 『FRIDAY』2024年5月3日号より
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