「吉祥寺駅北口の駐輪場」売却問題 土屋元市長の請求を棄却し、松下前市長の正当性を認める地裁判決
前市長「裁判官は原告の主張を一切認めなかった」
一方、松下前市長は判決について「裁判所は原告の主張に一切の正当性を認めず、100%被告の勝ちとしていることが特徴です」と語る。 随意契約で売却した点について、判決では地方自治法に基づき「地方公共団体の利益の増進につながると合理的に判断される場合」や「売却の性質や目的が競争入札に適しない場合」にあたるため違法ではない、と判断された。 「常識的に考えても、隣地の所有者に売るからこそ、高額な『限定価格』にすることができた。 もし一般競争入札にかけていた場合、正常価格の約4億5000万円を最低金額にして入札せざるを得ないから、9億円よりも低い価格で落札されてしまう可能性があった。随意契約こそが、より高額で売却できる適切な契約方法であることは、誰の目にも明らかだ」(松下前市長) また、土地の鑑定そのものは1人の不動産鑑定士のみが行ったが、その鑑定を参考にして正式に売却価格を決定する際には、複数の不動産鑑定士を含む委員らによる、市の財産価格審議会が開かれたという。 過去に本件について行われた監査請求においても、監査委員は「価格算定は適法であった」と評価している。今回の判決でも「売買契約を締結した松下前市長の判断は、裁量権の逸脱・濫用にはあたらない」とされた。
原告は前市長の「暴走」と主張するが…
原告は「今回の土地売買について、松下前市長は市民や議会への適切な周知・報告を怠ってきた」と主張している。また、土屋元市長も関わる「武蔵野市民の財産を守る会」が2022年に作成・配布したチラシでは「暴走、松下市政」と表現されている。 一方で、松下前市長は「決して暴走などではなく、丁寧に議会に報告しながら進めている」と反論する。2021年5月に市議会で行政報告を行った際にも反対意見はなく、当時は市議会議長を務めていた小美濃現市長からも「民間事業者との土地交換的手法を用いたまちづくりはウィンウィンの関係」「やるならスピード感をもって進めてほしい」と言われたという。 判決でも「本件各売買契約の立案・決定・準備の各段階において、市民や市議会に説明を行うなどしていた」と判断されていた。