第94回選抜高校野球 夢舞台へ 和歌山東、初の出場/市和歌山、2年連続(その1) /和歌山
<センバツ2022> 第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の選考委員会が28日に開かれ、和歌山東と市和歌山の出場が決まった。和歌山東は初出場、市和歌山は2年連続8回目の出場となる。県勢の公立校2校の出場は1992年の日高と南部以来30年ぶり。組み合わせ抽選会は3月4日。大会は同18日に開幕する。【橋本陵汰、加藤敦久、竹内之浩、藤原弘、山本芳博】 ◇和歌山東、初の出場 午後3時半ごろ、和歌山東の会議室で待機していた市川貴英校長のもとに、センバツ出場決定を知らせる電話があった。市川校長は緊張した表情で受話器を取り、「ありがたくお受け致します。ありがとうございます」と答えた。その後、集まった報道陣を前に「この度、選抜高校野球に(出場することが)決定致しました」と、言葉をかみしめるように報告した。 市川校長は選手たちが整列して待つグラウンドへ向かい、「第94回選抜高校野球大会の出場が決まりました。皆さん、おめでとう」と祝福した。続けて、「ここに至るまでに関わってくれた全ての人たちに感謝し、感謝を強い気持ちに変え、監督の掲げる『魂の野球』をもって本番を迎えてほしいと思います。しっかり頑張ってください」と激励した。マスクを着用した選手たちは、真剣な表情で市川校長の話に耳を傾け、春夏通じて初めての甲子園出場へ向けて気持ちを高めている様子だった。 エースの麻田一誠投手(2年)は昨秋、県内や近畿の強豪相手に堂々たるピッチングを見せ、チームを聖地に導く原動力の一つとなった。「やっと甲子園の舞台に立てるのだと感じた」と出場決定の報の喜びをかみしめつつ、「昨秋はしんどい試合もあったが、全員野球で戦い抜いてきた。甲子園では仲間を信頼して打たせてとるピッチングをしたい」と、初の甲子園でも自身の投球スタイルを貫く決意を述べた。 ◇市和歌山、2年連続 市和歌山の栂野(とがの)作治校長は午後3時半ごろ、広い階段教室に設けた電話で出場決定の知らせを受け、「ありがたくお受けします」と声を弾ませた。その後、グラウンドで待機していた選手たちを集めて吉報を伝え、「コロナ禍で練習試合ができない中で、出場を勝ち取ったのは素晴らしいこと。一方、保護者や先輩の方々のおかげでこの日があるということを忘れないでほしい。おめでとう」と祝福した。 続いて、半田真一監督が選手に向かい、「うれしいな、みんな」と言葉をかけて喜びを分かち合った。その上で、「君たちを支えてくれた方々に、戦いで恩返しをする準備をしていこう」と呼び掛けた。感染対策で選手たちはマスクをし、声を出すことはなかったが、全員が神妙な面持ちで出場決定の喜びをかみしめていた。 昨年出場のチームは、プロ野球のDeNAからドラフト1位指名された小園健太投手、ロッテ1位の松川虎生捕手の大型バッテリーが注目を集めた。今年のエース、米田天翼(つばさ)投手(2年)も右の本格派だ。「小園投手からエースナンバーを引き継いだ以上、自分がこのチームを勝たせるという思いでこの半年間、鍛えてきた。投げる試合は全イニング無失点を目指す」と力強く語った。小園投手も祝福のメッセージを寄せ、「2年連続の甲子園おめでとう。大舞台で緊張すると思うが、ベンチなども一体となって勝ち進んでほしい」とエールを送った。