ベビーブーマー富裕層、どの世代よりも「けち」-生前贈与に消極的
(ブルームバーグ): 米国のベビーブーマー世代は、少なくとも一つの尺度から見る限り、どの世代よりも「けち」な世代だ。生きている間に富を譲り渡すことに最も消極的であることが、ネット証券大手チャールズ・シュワブが行った新たな調査で明らかになった。
同調査によると、100万ドル(約1億5000万円)以上の投資可能資産を持つベビーブーマー世代のうち、「生きている間に自分の富を次の世代に享受してもらいたい」と考えている人の割合はわずか21%だった。この数字はミレニアル世代では53%、X世代では44%だ。
調査では、投資可能資産を計算する際に住宅や退職金の価値は除外している。
調査会社セルリ・アソシエイツの予測によれば、米国では今後25年間で約105兆ドル(約1京5700兆円)が世代間で受け継がれる見通し。2025年だけでも計2兆5000億ドルに達すると見込まれる。しかし、贈与を受ける人の数は比較的少ない。ここ数十年間で多額の贈与、信託、または相続を受けた世帯は全体のわずか20%に過ぎない。
ベビーブーマー世代はけちのようにも見えるが、思慮深さの裏返しかもしれない。
シュワブ・ウェルス・アドバイザリーのディレクター、スーザン・ハーシュマン氏は「ベビーブーマー世代は老後の不安から一生資産を持ち続ける傾向が強い」と指摘。「年配のベビーブーマーは80歳に近づくにつれ、愛する人の重荷になるという考えや恐怖が現実味を帯びてくる。それ故、安心のために資産を持ち続けるのだ」と語った。
一方でミレニアル世代とX世代の富裕層は「幸福感を高めるためには物質的なものより経験を重視する」と分析。「それが生きているうちに家族に富を分配し、喜びを分かち合い、思い出を残したいという願望にも現れている」とハーシュマン氏は語った。
調査はチャールズ・シュワブの委託でロジカ・リサーチが8月8日から9月2日にかけてオンラインで実施し、1005人から回答を得た。